朝ドラ『風、薫る』の外科助手・黒川勝治(演:平埜生成さん)。
実は、モデルになった実在の人物がいます。
この記事では、
- 黒川勝治の実在モデル・瀬尾原始さんの人物像
- 養父・瀬尾玄弘さんとの関係
- 瀬尾原始さんが知命堂病院の初代院長になった経緯
- 黒川勝治を演じる平埜生成のプロフィール
黒川勝治の実在モデル・瀬尾原始

朝ドラ「風、薫る」に登場する黒川勝治医師のモデルとされているのは、瀬尾原始さん(せのお・げんし)。
明治時代に活躍した外科医です。
さっそく人物像を見ていきましょう。
越後高田藩医の養子に
瀬尾原始さんが生まれたのは、文久元年(1861年)。
もともとの名前は菅沼原始でした。
父の弟にあたる瀬尾玄弘さんは、越後高田藩の藩医。
跡継ぎとなる男の子がいなかったため、原始さんが養子に迎えられます。
ここから瀬尾姓を名乗り、医者を目指して勉学に励む日々がスタートしました。
東京大学医学部で外科を学ぶ
原始さんは、まず新潟の英学校で英語や数学を学習。
上京してからはドイツ語も習得しました。
その後の歩みは、こんな感じです。
- 明治11年(1878年)
東京大学医学部予科に入学 - 明治20年(1887年)
本科を卒業。成績はほとんど「甲」という優秀さ
そのまま大学院に進み、外科学を研究 - 明治21年(1888年)3月
外科助手に就任。東京大学附属看護婦養成所の講師も兼任
このとき指導した委託生の中に、朝ドラのヒロイン・一ノ瀬りんのモデルである大関和さんがいました。
養父・瀬尾玄弘と知命堂医院
原始さんの歩みを語るうえで欠かせないのが、養父・瀬尾玄弘さんの存在です。
ウィリアム・ウィリスの助手に
瀬尾玄弘さんの経歴も、なかなかドラマチックです。
- 慶応4年(1868年)
戊辰戦争で、官軍のイギリス人外科医ウィリアム・ウィリスの助手を務める - 東京医学校(東京大学医学部の前身)でも学ぶ
- 漢方医学だけでなく、西洋医学にも精通した医師に
知命堂医院を開業
- 明治4年(1871年)
高田で「知命堂医院」を開業 - 明治10年(1877年)ごろから
上越地方の医療水準を上げるため、総合病院と医学専門学校をつくる構想を抱く
原始さんは、この構想を受け継ぐ存在として期待されていきました。
⇒ 『風、薫る』黒川病院のモデルは知命堂病院?瀬尾原始との関係を解説
知命堂病院、初代院長へ
岡山で医師・教育者として腕をふるっていた原始さんですが、やがて郷里へ戻る決断をします。
大関和との出会い
岡山時代の原始さんの歩みは、こちらです。
- 明治22年(1889年)10月
第三高等中学校医学部(現・岡山大学医学部)の外科教諭に就任 - 岡山産婆看護婦養成所の設立にも関わる
- 岡山県病院外科医長も兼任し、地方医療界を牽引
- 明治23年(1890年)
岡山医学会副会長に
そして明治24年(1891年)、郷里・高田で知命堂病院の竣工が近づくと、原始さんに帰郷の話が持ち上がります。
岡山では留任運動まで起きたそうですが、原始さんは同年10月、高田へ戻る道を選びました。
大関和を看護婦長に
高田に戻った原始さんは、なんと路上で大関和さんと偶然再会。
大関和さんは当時、高田女学校の舎監として働いていました。
原始さんは、まもなく開院する知命堂病院の初代看護婦長になってほしいと依頼。
大関和さんはこれを引き受け、高田女学校を退職します。
明治24年(1891年)11月29日、知命堂病院が開院。
大関和さんは看護長として、看護の現場に戻りました。
その後の二人の歩み
- 明治25年(1892年)5月
病院最初の施療患者の解剖を実施 - 明治27年(1894年)4月
知命堂病院附属産婆看護婦養成所を開設。
原始さんは養成所長を兼務し、県下初となる看護婦養成に取り組む
地域医療に生涯を捧げて
大関和さんは、知命堂病院の看護長として、原始さんの家族とも深い絆を築いていきます。
- 原始さんの次男が呼吸困難になったときは、救命措置にあたる
- 明治27年(1894年)
妻・ソノさんが腸チフスにかかった際は、回復まで看病を続ける
こうした献身が、原始さんと大関和さんの信頼関係をさらに深めました。
そして原始さんのその後の歩みも、見ておきましょう。
- 明治37年(1904年)
日露戦争で看護婦不足が深刻化。
原始さんの提案で「日赤篤志看護婦人会高田分会」が発足 - 明治39年(1906年)
財団法人知命堂病院を設立 - 明治45年(1912年)
理事長に就任 - 昭和5年(1930年)6月7日
70年の生涯を閉じる
西洋医学と地域医療をつなぎ、医師と看護婦の教育を同じ現場で育てようとした人生でした。
朝ドラ『風、薫る』黒川勝治とは
ここまでの史実を踏まえて、ドラマの中の黒川勝治がどんな役どころなのか見ていきましょう。
帝都医大病院の外科助手
黒川勝治は、帝都医大病院外科の助手。
トレインド・ナースの卵たちが実習に訪れた病院で、外科教授・今井益男のもとで働いています。
今井のモデルは、外科医・佐藤三吉さんと推測される人物です。
黒川も、りんの看護婦人生を大きく動かす、重要な役どころを担っています。
冷静な観察者としての黒川
帝都医大病院には、古い差別や偏見が根強く残っていました。
副院長や助教授・藤田邦夫は、見習い看護婦を見下す態度を隠しません。
患者の園部弥一郎も、りんを「下女ふぜいが!」と怒鳴りつける始末。
りんは、園部が痛みを隠していることを今井教授に直訴。
でも教授は、話を聞くだけで立ち去ってしまいます。
そんな様子を、黒川はただ静かに見つめていました。
感情を表に出さず、冷静に周囲を観察する黒川の姿勢。
この姿勢が、のちの展開でりんの人生に大きく関わっていきます。
黒川医師役は平埜生成
冷静な外科助手・黒川勝治を演じるのは、俳優の平埜生成さんです。
プロフィール
平埜生成さんのプロフィールは、こちらです。
- 1993年生まれ、東京都出身
- 16歳から劇団プレステージの前身に参加
- 2007年
ドラマ『セクシーボイスアンドロボ』で俳優デビュー
主な出演作
平埜生成さんの出演作は、幅広いジャンルに渡ります。
- 2017年
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で徳川信康役 - 映画『亜人』『空母いぶき』『新解釈・三國志』など
- 舞台『ロミオとジュリエット』など
『風、薫る』では、りんの人生を大きく動かす黒川勝治医師の役を務めています。
まとめ
以上、黒川勝治の実在モデル・瀬尾原始さんについてご紹介しました。
冷静に周囲を見つめる黒川の姿は、地域医療と看護婦養成に生涯を捧げた瀬尾原始さんの歩みと、どこか重なって見えますね。
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