2025年の大河ドラマ「べらぼう」で注目される江戸の吉原遊郭。その舞台となる「吉原」って、いったいどんな場所だったのでしょうか？さらに、今の地図でいうとどこにあったのか、気になりますよね。
江戸時代には「花魁道中」や華やかな宴が繰り広げられ、多くの文化人たちも足を運んだ吉原。まるでタイムスリップしたかのようなドラマの世界をもっと楽しむためにも、その歴史や実際の場所について知っておきたいところ。
この記事では、吉原遊郭の現在の場所やその歴史、どんな空間だったのかをわかりやすく解説します！
ドラマの背景を知れば、「べらぼう」をもっと面白く楽しめるかも。
吉原遊郭は現在のどこにあった？地図で解説
吉原遊郭は、江戸時代に幕府公認の遊廓として設立されました。当初は日本橋人形町付近（現在の中央区日本橋人形町）に位置し、「元吉原」と呼ばれていました。
元吉原の場所
しかし、1657年の明暦の大火により江戸の大部分が焼失し、吉原も被害を受けました。この大火を契機に、吉原は浅草寺裏の日本堤（現在の台東区千束）に移転し、「新吉原」として再出発したのです。
⇒明和の大火で吉原はどうなった？当時の将軍は？江戸の三大大火も解説
新吉原の場所
新吉原は、元吉原と比べて敷地面積が約1.5倍に拡大され、夜間の営業も解禁されるなど、より活気ある遊廓として発展しました。江戸の中心地から北に位置していたことから、「北」「北国」「北里」などとも呼ばれていました。
吉原に残る名所や遺跡
現在でも、吉原の歴史を感じられるスポットがいくつか存在します。
例えば、「吉原大門」は、かつての吉原の入口であり、現在は交差点の名前としてその名を留めています。
また、「見返り柳」は、遊郭を訪れた客が名残惜しさに振り返ったとされる場所で、石碑が建てられています。
さらに、「吉原神社」は、吉原内にあった稲荷神社を合祀した神社で、芸能の神様として崇敬されています。これらの名所を巡ることで、当時の雰囲気を感じ取ることができるでしょう。
現在の台東区千束の雰囲気
#蔦屋重三郎 は20代のころ、山谷堀から吉原へ続く道 #五十間道（現在の台東区千束4丁目11番）の吉原大門前で書店「#耕書堂」を営んでいました。📚#吉原大門 とは吉原遊廓唯一の出入口であり、かつては立派な黒塗りの門があった模様…👀
当時の場所には「よし原大門」の柱が立っています。 pic.twitter.com/WwE6XWv2Mi— 蔦重ゆかりの地 台東区 (@tsutaju_taito) September 6, 2024
台東区千束は、古くからの歴史と現代の生活が複雑に織りなす魅力的なエリアです。千束一丁目から四丁目までの範囲に広がるこの地域は、かつては広大な池や田園地帯が広がり、中世には「千束郷」として知られていました。現在では、商業地と住宅地が混在し、下町情緒あふれる雰囲気が漂っています。また、浅草や上野といった観光地にも近く、観光客が訪れることも多いエリアですね。
吉原遊郭は、江戸時代の文化や風俗を語る上で欠かせない存在であり、その歴史的背景を知ることで、当時の社会や人々の暮らしぶりをより深く理解することができます。
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吉原遊郭とはどんな場所だった？
吉原遊郭は、江戸時代に人々が楽しむための特別な場所で、主に「遊女」と呼ばれる女性たちがお客様をもてなす場として知られていました。遊郭の中では、豪華な衣装を着た遊女が、歌や踊り、話し相手をするなど、さまざまなサービスを提供していました。
特に高級遊女「花魁（おいらん）」は美しさだけでなく、教養や芸術にも優れており、多くの人が憧れを抱いて訪れたといわれています。また、季節ごとのお祭りや華やかな行事も行われ、ただ遊ぶだけでなく、当時の文化や芸術を楽しむ場としても人気がありました。
吉原遊廓を彩る桜。入り口となる大門を入ってすぐの景色です。吉原では桜の季節になると、わざわざ桜の木を他の場所から運んできて大通りに植え、桜が散ると撤去をしました。電灯のない江戸時代、明かりに照らされた夜桜を楽しめる数少ない場所でした。自宅でお花見を楽しむために #おうちで浮世絵 pic.twitter.com/KWP0oTiSkb
— 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (@ukiyoeota) March 28, 2020
黒板塀に囲まれた閉鎖空間
吉原遊郭は、周囲を「おはぐろどぶ」と呼ばれる堀や高い黒板塀で囲まれた、まるで別世界のような閉鎖空間でした。外界と隔絶されたその設計は、治安維持や風紀の取り締まりを目的としていたと言われています。中央には「仲之町」という大通りがあり、整然と区画された街並みが広がっていました。
「張見世」と「花魁道中」
吉原の魅力といえば、華やかな「張見世」と「花魁道中」。
張見世とは、遊女たちが格子越しに並び、訪れる客を出迎える場面のこと。男たちはお気に入りの遊女を選び、引手茶屋を通して遊ぶのが一般的でした。
そして見どころの一つが「花魁道中」。高級遊女の花魁が高下駄を履き、華やかな着物に身を包みながら、「外八文字」と呼ばれる独特の歩き方で通りを練り歩く様子は、誰もが目を奪われる光景でした。このイベントは、吉原の象徴とも言える華やかさを体現していました。
観光地としての吉原
吉原は遊郭という側面だけでなく、観光地としての魅力もありました。
特に桜の季節には、「仲之町」に植えられた桜並木が見事な景観を作り上げ、男女問わず多くの観光客が訪れました。地方からわざわざ見物に来る人々も多かったとのことです。また、祭りや行事も頻繁に行われ、昼間から賑わう様子が当時の記録に残されています。
吉原遊郭の裏側
しかし、華やかな側面の裏には、遊女たちの厳しい現実がありました。家族の借金のために身売りされ、過酷な労働を強いられる女性たちが大勢いました。彼女たちは、病気や暴力の危険にさらされながらも、日々を過ごしていたのです。
吉原遊郭は、その豪華絢爛な表面の裏に、社会問題を内包する場所でもありました。
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吉原遊郭はいつ廃止された？歴史をおさらい
吉原遊郭は、江戸時代から現代に至るまで、その姿を変えながらも日本の歴史に深く刻まれています。その誕生から終焉までの歩みを振り返りましょう。
吉原の誕生と発展（元和4年～明治時代）
江戸時代初期、都市の治安維持と風紀の取り締まりを目的として、幕府は遊女たちを一箇所に集める「集娼方式による公娼制度」を導入しました。これにより、1617年（元和3年）、日本橋人形町付近に「葭原（よしわら）」として吉原遊郭が設立。
しかし、1657年（明暦3年）の明暦の大火で焼失し、浅草寺裏の日本堤（現在の台東区千束）に移転し、「新吉原」として再建されます。
新吉原は、周囲を堀や塀で囲み、出入口を一箇所に限定するなど、閉鎖的な構造を持っていました。この空間で、遊女たちは厳しい階級制度のもとで生活し、最高位の「花魁（おいらん）」は高い教養と芸事を身につけていました。吉原は、浮世絵や文学などの文化の発信地としても栄え、多くの芸術作品の舞台となりました。
明治以降の遊郭文化と「貸座敷」への変化
明治維新後、西洋からの人権思想の影響や国内の廃娼運動の高まりにより、1872年（明治5年）に「芸娼妓解放令」が発布されました。しかし、遊郭自体は廃止されず、翌年には「貸座敷渡世規則」が制定され、遊郭は「貸座敷」として営業を続けました。この時期、吉原は関東大震災や東京大空襲などの災害を経ても再建され、その存在を維持しました。
東京大空襲後の復興と公娼廃止
第二次世界大戦中の1945年（昭和20年）、東京大空襲により吉原は再び壊滅的な被害を受けましたが、戦後には復興を遂げました。しかし、GHQの占領政策の中で1946年（昭和21年）に「公娼廃止指令」が出され、公娼制度は事実上廃止されました。
これにより、吉原は公式には遊郭としての機能を失いましたが、非公認の売春が行われる「赤線地帯」として存続することになります。
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吉原の終焉
1958年（昭和33年）の「売春防止法」施行により、赤線地帯も廃止され、吉原は長い歴史に幕を下ろしました。
前述したとおり、吉原があった台東区千束周辺には、当時の面影を伝える史跡や地名が残っています。また、近年では吉原をテーマにした文学作品や映画、ドラマが制作され、その歴史や文化が再評価されていますね。
吉原遊郭の歴史は、日本の社会構造や文化の変遷を映し出す鏡とも言えます。その栄華と衰退の物語は、現代に生きる私たちに多くの示唆を与えてくれるでしょう。
吉原文化が語り継がれる理由
吉原は、江戸時代の遊郭文化の中心地として、多くの芸術や文学の舞台となりました。浮世絵や文学作品に描かれた吉原の風景や人々の姿は、当時の文化や社会を知る上で貴重な資料となっています。また、吉原の歴史には、遊女たちの悲哀や人権問題など、現代にも通じるテーマが含まれており、歴史的な教訓として語り継がれています。これらの背景から、吉原文化は現在でも多くの人々の興味を引き続けているのです。
吉原の名所を巡り、その歴史や文化に触れることで、江戸時代の日本の一側面を深く理解することができるでしょう。また、現代の千束の街並みを歩くことで、過去と現在が交錯する独特の雰囲気を味わうことができます。
以上、今回は吉原がどこにあったのか、その歴史をご紹介しました。吉原は、江戸時代に華やかな文化を育む一方で、遊女たちの厳しい現実を抱えた場所でもありました。その二面性を知ることで、当時の社会や人々の思いに触れることができますね。
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