2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第34話。今回は、蔦屋重三郎が新たに老中となった松平定信の改革に直面し、自らの信じる文化の力で抗おうとする姿が描かれます。
戯作者や狂歌師たちと再び手を取り合い、豪華な黄表紙や狂歌絵本の制作に乗り出す重三郎。その決意の裏には、田沼時代への深い想いと、自由な表現を守ろうとする覚悟がありました。
この記事では、第34話のあらすじをご紹介します。ネタバレを含む点にご注意ください。
べらぼう|第34話のネタバレとあらすじ
定信登場の衝撃
新之助の死から数日後、重三郎のもとへ三浦が訪れ、下手人についての報告を届けます。
犯人の正体は分からずじまいでしたが、「毒が使われた可能性があるから、食べ物には注意しろ」と忠告されます。
三浦は、打ちこわしの礼として五十両という大金を差し出しました。
辞退しようとする重三郎に「遠慮するな」と押し切る三浦。その直後、「田沼様のご老中復帰はいつですか?」という自然な問いかけに、三浦は曖昧な笑みで返すのみ。
そこへみの吉が駆け込んできて、読売を差し出します。
目を通した重三郎は驚愕。
「なぜ田沼様じゃないんだ!」
新たに老中首座に抜擢されたのは、なんと松平定信。
若さと血筋、そして派手な逸話の数々で、江戸中が興奮の渦に巻き込まれました。
しかし、その裏では定信配下の隠密たちが、街に出回る噂を収集していたのです。
さらには定信自身が、政策を記した文章を読売に載せ、自らのイメージを巧みに操っていました。
“ふんどし”への怒り
重三郎の店にも、定信フィーバーの風が吹き込んできます。「田沼の手先」などと冷ややかな声が通りすぎ、重三郎は通行人を睨みつける始末。
「いっそ越中守の錦絵を出したら?」と提案するつよ。
「黄表紙に仕立てましょう!」と乗っかるみの吉。
ところが重三郎は不満げです。
「定信は、田沼様の手柄を横取りして老中になったふんどし野郎だ」と言い放ちます。
そこにていが帰宅。「打ちこわしを起こしたのも田沼様では?」と冷静な視点を投げかけ、重三郎を黙らせます。
読売には定信の演説が記されていました。「田沼病」と名付けられた奢侈への批判。倹約こそがこの国を救うという主張。
重三郎は反発します。「死ぬまで働けってことかよ!」と怒りを爆発。
ていは淡々と返します。「働くな、死ぬまで遊べという考えのほうが異常でしょう?」
⇒ 松平定信の家系図|徳川家治との関係は?将軍になれなかった理由とは
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粛清の波
ある日、街で読売を手にした人々が歓声を上げていました。「田沼派が成敗された!」と興奮気味に騒ぐ人々。
その記事には、松本秀持と土山宗次郎の処罰が記されていたのです。誰袖の行方も心配される状況になってきました。
重三郎の店では、ていが「このままでは私たちも巻き添えになるかも」と不安を口にします。
重三郎は言葉に詰まり、「店を守るためには現実を見るべきだ」とていの真剣な訴えに頭を垂れます。
重三郎は、自室で読売を読みながら静かに考えを巡らせます。「田沼様の世が好きだった」としみじみ思い返し、ついに決断を下します。
「書をもって抗いたい」。
田沼意次にそう告げると、意次は「我が心のままに」と温かく背中を押しました。
集結する才人たち、反撃の狼煙
重三郎は、狂歌師や戯作者、絵師たちを蔦屋に招集します。
「これからは戯けたら罰せられる時代になる」と語る重三郎に、一同は緊張をにじませます。
「ふんどしのご政道を持ち上げつつ、皮肉る黄表紙を出そう」と提案。
さらに「贅沢を禁止される今だからこそ、目玉が飛び出るほど豪華な絵本を出すんだ!」と熱弁を振るいます。
重三郎の情熱に感化された南畝は、ついに心を動かされ、一首詠みます。「毛をふいて~」と始まるその歌に、狂歌師たちは再び熱を帯びはじめました。
そして、年が明けた天明八年。
黄表紙『文武二道万石通』『時代世話二挺皷』『悦贔屓蝦夷押領』と、狂歌絵本『画本虫撰』が、華々しく世に放たれます。
ふんどしの世に抗うため、笑いと遊びの力を信じた人々の挑戦が、静かに始まったのでした。
2025年大河ドラマ|べらぼうのあらすじとネタバレ全話まとめ
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べらぼう第34話の見どころ解説
物語はいよいよ転換点へ。2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」第34話では、蔦屋重三郎が、これまでとはまったく違う時代の風に真正面からぶつかっていきます。
これまで自由な発想と遊び心で江戸文化を牽引してきた重三郎が、松平定信の“質素倹約の世直し”と真正面から対立する構図は、まさに今作の真骨頂。民衆の人気を集める新政に対して、あえて「書をもって抗う」と決意する姿に、重三郎という男の覚悟と反骨精神がにじみます。
そして狂歌師・大田南畝をはじめ、歌麿、朱楽菅江、恋川春町らが続々と再集結するのも感動的な展開ですね。
特に、戯れ歌一首が処罰対象になるかもしれないという不穏な空気のなか、南畝が沈黙を破って即興の狂歌を詠むシーンは、大河ファンならずともグッとくるはず。
さらに、田沼意次との再会では、人を信じ、人に託す重三郎の想いと、意次の去り際の言葉が静かに心に沁みます。粛清が続く中で「それでも書く」と決める重三郎の姿勢には、時代に飲まれず生きる者の美学が光ります。
今後、蔦屋の店がどうなるのか。田沼派の末路は? 狂歌や黄表紙の未来は守られるのか? …と、見どころ満載の第34話となりそうです。
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