2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で、俳優の寛一郎さんが演じる富本午之助。第11話に登場するこの人物は、江戸時代に「富本節」という音楽を広めた重要な存在です。
でも、「富本節って何?」「浄瑠璃って難しそう…」と思う方も多いはず。そこで今回は、富本午之助とはどんな人物なのか、富本節とはどんな音楽なのかを、初心者でも楽しくわかるように解説します!
江戸のエンタメ界を彩った富本午之助の魅力、一緒にのぞいてみませんか?
富本午之助って誰?まずはざっくり解説!
2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で、俳優の寛一郎さんが演じる富本午之助。
ここでは、富本午之助とはどんな人物なのか、午之助が活躍した富本節とはどんな音楽なのかを、できるだけわかりやすくご紹介します!
富本午之助の基本プロフィール
富本午之助(とみもと うまのすけ)は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した浄瑠璃の太夫で、富本節の中心的存在でした。
午之助の父は、富本節を創始した初代富本豊前掾(ぶぜんのじょう)。午之助はその才能を受け継ぎ、1770年に二代目富本豊志太夫(とみもと とよしだゆう)を襲名し、その後二代目富本豊前太夫となりました。
江戸時代の芸能界で名を馳せた富本午之助の特徴は、美しい語り口と独特の節回し。しかし、もう一つ有名なのがその見た目。顔が面長だったことから、「馬づら豊前」というあだ名で親しまれていました。江戸の庶民たちは、富本午之助の浄瑠璃の語りを聞きながら、その風貌にも親しみを感じていたのかもしれませんね。
富本節の重要人物だったこと
富本午之助が活躍した「富本節」とは、1748年に午之助の父・富本豊前掾が創始した三味線音楽の一派です。
もともと、浄瑠璃は三味線を伴奏にして物語を語る伝統的な音楽でしたが、その中でも富本節は特に優雅で洗練された節回しが特徴。江戸の粋な文化人たちに愛され、芝居小屋や茶屋などで人気を博しました。
しかし時代が進むにつれ、新たな音楽スタイルが次々と登場します。その中で特に強敵となったのが清元節(きよもとぶし)。技巧的で華やかな語り口が人気を集め、やがて富本節は次第に影を潜めていくことになります。
それでも、富本午之助の活躍によって富本節は一時代を築き、江戸の音楽文化に確かな足跡を残しました。
2025年大河ドラマ『べらぼう』では寛一郎が演じる
そんな富本午之助が、2025年の大河ドラマ『べらぼう』に登場します!演じるのは俳優の寛一郎さん。
大河ドラマべらぼうは、江戸時代の出版文化を支えた蔦屋重三郎(蔦重)の物語。その中で、江戸の芸能界を支えた人物の一人として富本午之助が登場するわけですね。おそらく、富本午之助の美しい語りや富本節の魅力が劇中で描かれることでしょう。
べらぼう第11話で登場予定とのことなので、どのように物語に関わるのか、今から楽しみですね!
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富本節ってどんなもの?浄瑠璃とどう違うの?
富本午之助を語るには、午之助が活躍した「富本節」や、それが生まれた「浄瑠璃」の世界を知ることが欠かせません。
「浄瑠璃ってそもそも何?」「富本節ってどんな音楽なの?」――そんな疑問を持つ方でも、この記事を読めばきっと江戸の音楽文化に興味が湧いてくるはずです。さっそく、富本節の魅力に迫ってみましょう!
浄瑠璃とは何か? 簡単な歴史と概要
まずは「浄瑠璃(じょうるり)」という言葉から解説しましょう。浄瑠璃とは、日本の伝統的な語り物音楽の一つで、三味線の伴奏にのせて物語を語る芸能です。
もともと室町時代に誕生した浄瑠璃は、江戸時代に入ると急速に発展。多くの流派が生まれ、それぞれが独自の節回し(メロディー)や語り方を生み出しました。
特に有名な浄瑠璃の流派には以下のようなものがあります。
- 義太夫節(ぎだゆうぶし):人形浄瑠璃(文楽)の語りとして確立。歌舞伎とも深く結びつく。
- 常磐津節(ときわづぶし):華やかでリズミカルな語りが特徴。歌舞伎の舞踊劇にも使われる。
- 富本節(とみもとぶし):今回紹介する流派で、繊細で優雅な節回しが特徴。
浄瑠璃は、ただの音楽ではなく芝居や舞踊と結びついた総合芸術でした。だからこそ、江戸時代の人々にとっては、劇場や座敷で楽しむ「エンタメ」として欠かせないものだったのです。
富本節の特徴とは? 繊細で優雅な江戸の音楽
富本午之助が活躍した「富本節」は、1748年に初代・富本豊前掾(ぶぜんのじょう)によって創始されました。
富本節の大きな特徴は、繊細で上品な節回し。豪快で力強い義太夫節とは異なり、静かに語りかけるような柔らかな旋律が魅力です。江戸の町人文化の中でも、特に粋(いき)を重んじる人々の間で人気を集めました。
また、富本節は歌舞伎の伴奏音楽としても使われました。特に江戸の芝居小屋では、舞台の情感を盛り上げる役割を果たし、観客を物語の世界へと引き込んでいました。
ただし、江戸後期になると、より技巧的で派手な「清元節(きよもとぶし)」が登場し、人気を奪われていきます。こうして、かつて一世を風靡した富本節は、次第に影を潜めることとなりました。
江戸の歌舞伎や大衆芸能との関係
浄瑠璃は単独で楽しむだけでなく、歌舞伎や人形浄瑠璃(文楽)と深い関わりを持っていました。特に富本節は、歌舞伎の舞踊劇の伴奏として活躍しました。
当時の歌舞伎役者は、踊りや芝居だけでなく、音楽とも密接に関わっていました。富本節の柔らかく優雅な旋律は、舞台の雰囲気をより情緒的にし、観客の感情を高める効果がありました。
また、芝居小屋だけでなく、座敷での演奏(素浄瑠璃)としても庶民の娯楽になっていました。商人や町人たちは、茶屋や宴席で三味線とともに語られる富本節を楽しみ、時には自ら習うこともあったのです。
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江戸のエンタメ界での富本午之助の活躍!
江戸時代のエンタメ界に欠かせない存在、それが富本午之助。彼は、独自の語り口と音楽センスで「富本節」を広め、歌舞伎とも深く関わることで一時代を築きました。
しかし、富本午之助の魅力は舞台上の活躍だけではありません。庶民たちが富本午之助の音楽をどのように楽しんでいたのか、さらにはちょっとユニークなあだ名「馬づら豊前」のエピソードまで、たっぷりご紹介します!
歌舞伎との関わり(中村座での活動)
富本午之助は、当時の歌舞伎界と深い関わりを持っていました。富本午之助が活躍したのは、江戸を代表する歌舞伎劇場のひとつである中村座。
中村座とは?
江戸時代、歌舞伎を上演する劇場の中でも特に格式が高かったのが、中村座・市村座・森田座の「江戸三座」。このうち、中村座は庶民だけでなく、武士や文化人にも愛された名門劇場でした。
富本午之助は、この中村座の舞台で富本節を演奏し、歌舞伎の演目に深みを加えていました。当時の歌舞伎は、役者の演技だけでなく、伴奏音楽によってさらに情感を高めることが重要でした。
特に、富本節の繊細で優雅な旋律は、舞踊劇や恋愛ものの芝居で重宝されました。観客は、三味線の音色と語りの美しさに酔いしれながら、芝居の世界に引き込まれていったのです。
「舞台の感動を最大限に引き出す音楽」――まさに映画のサントラのような役割を果たしていたのが、富本午之助の語る富本節でした。
「馬づら豊前」と呼ばれたエピソード
富本午之助には、ちょっとユニークなあだ名がありました。それが、「馬づら豊前(うまずらぶぜん)」。
この異名の由来は、午之助の面長な顔立ち。当時の江戸の町人たちは、見た目の特徴を捉えてユーモアたっぷりのあだ名をつけるのが好きでした。
「馬づら」と聞くと、ちょっと失礼に感じるかもしれませんが、これはあくまで親しみを込めた呼び名。江戸の庶民は、こうした愛称をつけることで、人気芸能人との距離を縮めていたのです。
しかし、富本午之助が評価されたのは、その見た目ではなく、類まれな語りの才能。富本午之助の演奏を聴けば、誰もがその美声と表現力に引き込まれ、あだ名のことなど忘れてしまったに違いありません。
江戸時代の庶民はどうやって富本節を楽しんでいた?
さて、そんな富本午之助が奏でる富本節。江戸の庶民たちは、どのようにして楽しんでいたのでしょうか?
当時の娯楽といえば、歌舞伎、寄席(落語や講談)、祭り、座敷遊びなどさまざまありました。その中でも、歌舞伎や浄瑠璃は特に人気で、多くの庶民が夢中になっていました。
富本節の楽しみ方 〜庶民編〜
江戸の町人たちは、次のようなスタイルで富本節を楽しんでいました。
- 芝居小屋で楽しむ
→ 歌舞伎の舞台で流れる富本節を聴きながら、芝居の世界に浸る。 - 座敷での演奏を楽しむ
→ 料亭や茶屋での宴席で、語り手が三味線とともに語る富本節に耳を傾ける。 - 富本節を習う
→ 音楽好きな町人たちは、弟子入りして三味線や語りを学び、自分で演奏することも。
芝居小屋に足を運べば、役者の熱演とともに、富本節の語りを楽しむことができました。また、裕福な商人たちは、座敷に語り手を招いてプライベート演奏会を開くこともあったのです。
このように、富本節は単なる劇場音楽ではなく、江戸の庶民にとって身近な娯楽でもあったのです。
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どうやって楽しむ? 現代でも体験できる富本節!
江戸時代に誕生し、一世を風靡した富本節(とみもとぶし)。
しかし、「今でも富本節を聴くことはできるの?」「江戸の音楽文化を楽しむにはどうしたらいい?」と気になる方もいるのではないでしょうか?
ここでは、現代でも楽しめる伝統芸能の魅力や、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』を通じて富本節に触れる方法をご紹介します!
現代でも富本節は聴けるのか?
江戸時代に華やかな人気を誇った富本節ですが、実は現在ではその演奏を聴く機会はほとんどありません。
その理由のひとつが、清元節(きよもとぶし)の台頭です。
富本節は、元々三味線を伴奏に語る繊細で優雅な浄瑠璃の一派として発展しました。しかし、江戸後期になると、より技巧的で華やかな清元節が人気を集めるようになり、富本節は次第に影を潜めていきました。
現代では、富本節の生演奏を聴く機会はほぼなくなりましたが、その流れをくむ清元節は今でも歌舞伎の舞台などで演奏されています。
「江戸の音楽文化に触れてみたい!」と思ったら、まずは清元節が使われる歌舞伎公演を観てみるのもおすすめです。
伝統芸能を楽しむコツ
「伝統芸能って、なんだか難しそう…」と思うかもしれませんが、実は意外と気軽に楽しめる方法がたくさんあります!
① 清元節を聴いてみる
富本節の流れをくむ清元節は、現在も歌舞伎の演目で使われています。
- 歌舞伎座(東京)や国立劇場の公演をチェック!
→ 演目によっては、清元節の美しい旋律を生で楽しむことができます。 - CDやストリーミングで聴く
→ 清元節の名曲を音源で楽しむことも可能です。
② 伝統芸能の公演やワークショップに参加する
実際に演奏を体験できるワークショップや、伝統芸能の公演も各地で開催されています。
- 「伝統芸能体験プログラム」に参加する
→ 三味線や浄瑠璃を実際に演奏できる体験イベントが全国で開催されています。 - 日本舞踊や文楽の公演を観る
→ 歌舞伎だけでなく、日本舞踊や文楽でも、三味線音楽を楽しむことができます。
③ 江戸時代の音楽文化を学ぶ
- 博物館や資料館で展示を見る
→ 江戸時代の音楽や庶民文化を学べる展示が全国の博物館で開催されています。 - オンラインで学ぶ
→ 江戸時代の芸能に関する動画や記事をチェックするのもおすすめ。

以上、今回は富本午之助と富本節についてご紹介しました。
江戸時代のエンタメ界を彩った富本午之助は、歌舞伎との関わりを持ちながら富本節を広め、多くの庶民に愛された存在でした。その活躍は、江戸の芝居小屋や座敷での演奏を通じて、音楽と芝居の世界を豊かにしていました。
しかし、時代の流れとともに富本節は衰退し、現代ではその演奏を耳にする機会はほとんどなくなりました。それでも、富本節の流れをくむ清元節が、現在も歌舞伎の舞台で演奏されていることを考えると、富本午之助の影響は今なお続いているといえるでしょう。
また、2025年の大河ドラマ『べらぼう』では、富本午之助が登場し、彼が生きた時代や江戸の文化がリアルに描かれることが期待されます。これをきっかけに、江戸時代の音楽文化や伝統芸能に興味を持つ方が増えるかもしれませんね。
「江戸の音楽って、面白そう!」と思ったら、まずは歌舞伎や清元節の演奏を楽しんでみたり、大河ドラマをチェックしてみたりするのもおすすめです。
富本午之助が生きた時代の音楽や文化に触れることで、きっと新しい発見があるはず。ぜひ、江戸の音の世界に耳を傾けてみてください!
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