2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第36話。
今回は、蔦屋重三郎が世を揺るがす黄表紙の絶版騒動に直面し、戯作者たちの運命も大きく動いていきます。定信との対立が深まるなか、春町が下す覚悟の決断とは…。
この記事では、べらぼう第36話のあらすじをご紹介します。ネタバレを含みますので、ご注意ください。
べらぼう|第36話のネタバレとあらすじ
戯作の力と真面目なふざけ
寛政元年の初春、黄表紙の世界はますます熱を帯びていました。
恋川春町の『鸚鵡返文武二道』や唐来三和の『天下一面鏡梅鉢』が好評を博し、書店では昨年刊行された『文武二道万石通』も依然として売れ続けています。
地本問屋たちは、勢いづく重三郎の出版力に舌を巻き、嫉妬混じりに賞賛を送るばかりでした。
「黄表紙好きって噂のご老中がいるらしいですよ?」と、重三郎がいたずらっぽく笑います。
とはいえ、定信はその頃、政務に追われ黄表紙どころではありませんでした。人事、財政、幕閣内の調整など、多忙を極めていたのです。
そんな中、側用人・本多忠籌の賄賂疑惑が浮上します。
定信は激怒し、「奉公とは己の誉れのためにある」と主張しますが、本多は「現実はそう甘くない」と訴えました。
役目は持ち出しばかりで旨みがない。それが人材不足の本当の理由だというのです。
このやり取りが、後の大きな波紋へとつながっていきます。
⇒ 鸚鵡返文武二道のあらすじは?恋川春町の傑作を解説|べらぼう深掘り
「絶版」命令と喜三二の決意
ある日、日本橋・通油町に奉行所の一行が現れます。目指すは蔦屋。重三郎の店に入り、与力が告げました。
「『鸚鵡返文武二道』『天下一面鏡梅鉢』『文武二道万石通』、三作すべて絶版とする!」
人気作を一斉に失った蔦屋は、その日休業。暗い店内で、皆が肩を落とします。
ていが「もしかして、黄表紙好きという話は誤解だったのでは…」と不安をこぼし、つよも青ざめます。
そこへ、春町と三和が現れました。
喜三二は藩から叱責を受け、筆を折る覚悟を固めています。
出羽秋田藩主・佐竹義和が、戯作活動を知ってしまったからでした。春町もまた、名を変えて続ける道は選ばず、「遊びで誰かを泣かせてはならぬ」と筆を置く決断をします。
一方、南畝から届いた文には、平秩東作が重病だとの知らせが。重三郎、南畝、須原屋市兵衛の三人は東作を見舞います。久々に顔を合わせた旧友たちは、笑いを交えながらも、東作の衰弱した姿に胸を痛めました。
⇒ 文武二道万石通とは?あらすじや作者・喜三ニと蔦屋重三郎との関わりを解説
蝦夷地と定信への反発
その後、蝦夷地でクナシリ・メナシの戦いが勃発。
過酷な支配に抗議したアイヌたちの蜂起は、幕政の課題として取り上げられます。
定信は松前藩から蝦夷地を取り上げ、幕府直轄とする方針を打ち出しました。
しかし、この政策に対して紀伊の徳川治済が疑問を投げかけます。「田沼病と笑われぬか?」と。
さらに懐から取り出したのは、恋川春町の『悦贔屓蝦夷押領』。
定信の施策が意次の手柄を横取りする形で描かれていたのです。
怒りに震えた定信は、「恋川春町=倉橋格」の名指しを命じ、取り調べを始めようとします。
その報せが春町にも届きました。
重三郎は「死んだことにして逃げ延びる」という案を提案。
最初は戸惑う春町でしたが、「戯作者として生き延びたい」という願いから、名を捨て別人として生きる覚悟を固めます。
最後の戯れと仲間たちの想い
その決意の裏で、吉原では喜三二の送別会が催されていました。
かつての仲間や女郎たちが集い、別れを惜しみます。
皆が「次も書いてほしい」と願いを託すなか、喜三二は一度は断筆を宣言するものの、仲間の仕掛けに背中を押され「やっぱり書く!」と宣言。
会場は歓喜に包まれました。
ところが翌日、春町が腹を切ったという知らせが重にもたらされます。
白装束の春町の遺体を前に、重三郎は髷に付着した柔らかいものに気づきました。それは豆腐。
つまり春町は、「豆腐の角に頭をぶつけて死んだ」ことにしようとしたのです。
辞世の句と破かれた手紙をつなぎ合わせると、そこには春町の苦渋の決断と、すべてを守ろうとした真心が記されていました。
「皆に累を及ぼすわけにはいかない。だから自ら命を絶った」と。
後日、松平信義が定信のもとを訪れ、春町の死を伝えました。
「戯ければ腹を切られる世とは、誰のための世か」
と、重三郎の言葉も添えて。
定信は何も言い返せず、布団部屋にこもると、積まれた布団に顔を埋め、野獣のような慟哭をあげるのでした。
⇒ 恋川春町はいつ処罰された?弾圧の理由や蔦屋重三郎との関係を解説
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2025年大河ドラマ|べらぼうのあらすじとネタバレ全話まとめ
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べらぼう第36話の見どころ解説
2025年の大河ドラマ『べらぼう』第36話は、戯作という“遊び”が、武家社会の“本気”と激しくぶつかる回になりそうです。
物語の中心には、重三郎が世に送り出した黄表紙『鸚鵡(おうむ)返文武二道』や『天下一面鏡梅鉢』が、ついに幕府の逆鱗に触れてしまうという展開。
定信の寛政の改革を皮肉った内容が問題視され、奉行所が蔦屋に乗り込み、三作まとめて絶版というお達しが――。
一方で、戯作者たちにも大きな転機が訪れます。朋誠堂喜三は筆を折り、春町にも「倉橋格」としての限界が……。
藩主や幕府との板挟みに苦悩しながら、それでも戯作を愛した者たちの葛藤が、非常に胸に迫ります。
中でも注目なのは、春町が“自ら消える”という決断に至るくだり。
表向きには病で隠居ということにしつつ、その裏で仲間たちが知恵と優しさで支える姿には、粋な江戸の人情がにじみますね。しかも、その別れが“豆腐の角で……?”春町らしく、切なくも温かいオチで締めくくられる展開を楽しみにしていましょう。
さらに蝦夷地をめぐる政治パートも見逃せません。
アイヌの蜂起と松前藩の失政、それに乗じた定信の強引な政策と、田沼政治への対抗心。
政治と出版、二つの路線が交差する本話は、大河ならではの厚みが感じられる構成です。
放送が待ち遠しいですね。
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