2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第33話。今回は、江戸を揺るがす打ちこわしの混乱と、それを止めようと奔走する蔦屋重三郎、新之助たちの姿が描かれます。さらに、冥府の影をまとった謎の男の出現や、長谷川平蔵の登場もあり、物語は大きく動き始めます。
この記事では、第33話のあらすじをご紹介します。ネタバレを含みますのでご注意ください。
べらぼう|第33話のネタバレとあらすじ
天明の江戸、揺れる――打ちこわしの幕開け
町に貼り出された一枚の幟(のぼり)が、江戸をざわつかせました。新之助の手によって書かれたその言葉には、民の苦しみに寄り添う訴えが込められていました。
「政を正せ」
この一文が、飢えと不満に満ちた民たちの心を大きく揺らします。
その思いは一気に爆発。田沼家の御用米屋を狙った打ちこわしが始まりました。
米屋の戸を叩き壊し、米俵が道にばら撒かれる光景に、見物していた人々も次々と加勢していきます。「俺たちもやろうぜ!」という掛け声に、群衆の数は膨れ上がっていきました。
この事態を知った田沼意次は、江戸城から騒ぎを見下ろしながら、すぐに対処を指示。
町奉行の曲淵が報告を持って駆け込むと、老中たちは事の深刻さをようやく実感し始めます。米屋が襲われているだけでなく、「政を改めよ」と書かれた幟が町に立ち始めている……ただの騒乱ではないことを意次は察します。
打ちこわしと冥府の影、重三郎の提案
その頃、重三郎も呼び出され、意次と顔を合わせていました。
打ちこわしに参加する群衆の中に、かつて源内の屋敷に出入りしていた謎の男を見かけたという報告があり、意次の表情が険しくなります。平賀源内の死にも関わっていたとされるその男が、今また江戸の騒乱に現れたのです。
そんな緊迫した空気のなかで、重三郎がふと思いついた策。それは「米がなければ銀を配る」というものでした。米の代わりに銀を配り、その銀で後日一升の米が買えるようにすれば、人々の怒りも和らぐのではないか、と。
意次はこの提案に即座に賛同。
「では、市中に知らせよ」と命じられた重三郎は、「またウチがやるんですか」と苦笑しつつも、すぐに動き始めます。
蔦屋では芸人や男芸者たちを集め、華やかな告知隊を組織。浄瑠璃や鳴り物を用いて、町を練り歩きながら人々に知らせる準備が整いました。
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祭りのごとき告知隊と、迫る影
いざ告知隊が出発すると、江戸の空気が一変します。斎宮太夫の華やかな節回しに人々は足を止め、道端の騒乱も一時鎮まっていきます。重三郎やみの吉が摺物を配り、「三匁二分で米一升」と書かれた幟も風になびきます。
そんな中、重三郎の背後に忍び寄る影がありました。
突如、匕首を持った男が重三郎に襲いかかります。
重三郎を庇った新之助が身を挺して守り、脇腹に刃を受けました。男はすぐさま平蔵により斬られ、騒ぎは収束したものの、新之助の様子がどこかおかしい。どうやら刃には毒が塗られていたようです。
重三郎は急ぎ新之助を連れて医者を探しますが、新之助の意識は次第に薄れていきます。
「蔦重、俺はおふくと坊を守れなかった。でもお前を守れた」
――最期の言葉を残し、新之助は静かに目を閉じました。
命を写す絵
打ちこわしの混乱が収まったころ、重三郎はすっかり力を失い、墓地でただひとり佇んでいました。そこへ現れたのは歌麿。持ってきたのは、虫や草花を写した美しい絵。「これが、俺の“ならではの絵”なんだ」と差し出されたその絵に、重三郎の心がかすかに動きます。
「命を写すことが、自分にできる償いかもしれない」――歌麿の言葉に、重三郎の心に溜まっていた涙があふれました。
「新さんは俺をかばって死んだんだよ……」
「いい顔して死んだんだろ?」
歌麿の問いに、重三郎は涙ながらにうなずきました。新之助の死に顔は、志を貫き通した男の誇りに満ちていたからです。
「俺はこの人に命を救われた。今度は俺が命を描いていく……」
雨が降り出しそうな静かな空の下、重三郎は新たな一歩を踏み出す覚悟を、胸の奥で固めていたのでした。
2025年大河ドラマ|べらぼうのあらすじとネタバレ全話まとめ
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べらぼう第33話の見どころ解説
べらぼう第33話は、いよいよ江戸市中を揺るがす“打ちこわし”が本格化。田沼政権の矛盾と民衆の怒りがぶつかり合う、まさにクライマックスの一幕です。
まず注目したいのは、蔦屋重三郎の立ち回り。
町人でありながら、幕府と庶民の間を奔走し、知恵と行動力で混乱の火種を鎮めようと奮闘します。
米の代わりに銀を配るというアイデアはフィクションとしても面白く、重三郎の人間力と時代の空気を読む勘の鋭さが光る展開。ここに“本屋の力”が象徴的に描かれるのも、このドラマらしい魅力です。
また、緊張感あふれるなか、娯楽の力が民の心を動かしていく様子も見どころのひとつ。
斎宮太夫率いる芸人たちによる告知隊の登場は、まさに江戸らしい“陽気な反骨”が炸裂する場面。混乱の渦中にある町を、一瞬でも祭りのように変えてしまうこの演出は、映像化されれば強く印象に残ることでしょう。
そしてもうひとつ、物語のなかで静かに、しかし確実に胸に迫ってくるのが、新之助の結末。彼の思いと覚悟、そして重三郎との絆が、物語に深い余韻を残します。明言はされなくとも、その背中が語るものに、視聴者は何かを感じ取るはずです。
また、水野忠友や定信、治済といった実在の政治家たちが動きを見せ、政権交代の火種も見え隠れしてきました。田沼時代の終焉と、寛政の改革への移行をどう描いていくのか、今後の展開が非常に気になるところですね。
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