2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」の第43話。
今回は、蔦屋重三郎と喜多川歌麿の関係に大きな変化が訪れ、吉原を舞台にそれぞれの信念がぶつかり合います。
一方、幕府では松平定信と徳川家斉の間に新たな権力の動きが――。
この記事では、べらぼう第43話のあらすじをご紹介します。ネタバレを含む点にご注意ください。
⇒ 11月23日(日)放送のべらぼうは 第45話
べらぼう|第43話のネタバレとあらすじ
吉原にもう一度華を
寛政五(1793)年の初夏、蔦屋重三郎は絵師・喜多川歌麿を伴い、吉原の老舗・駿河屋を訪ねました。
華やかだった吉原も、かつての勢いはすっかり影を潜めています。
茶屋の親父たちが語るのは、見栄を張って金を使う客も減り、身請け金にも上限が設けられたという嘆きばかり。
「もう一度、吉原にあの賑わいを取り戻したい」
――重三郎は、その思いを胸に茶をすすりました。
一方で歌麿は、花魁たちの姿を丹念に写生していました。
重三郎が信じるのは、絵の力で世の中を変えること。
歌麿の筆があれば、吉原を再び輝かせることができる
――そう確信していたのです。
しかし、すでに二人の間には小さな溝が生まれはじめていました。
微妙な駆け引き
時を同じくして、幕府では大きな動きが起きていました。老中・松平定信は、ロシア(オロシャ)の南下を恐れ、海防策をまとめて将軍・徳川家斉に上申しようとしていたのです。
その席で家斉は、父・一橋治済から「そろそろ自ら政を行え」と促されたと打ち明けました。けれども家斉は政に関心が薄く、定信に「補佐を外れても、そなたが指図を続ける仕組みはないか」と尋ねるほど。
この一言をきっかけに、定信は“より上の地位”――大老の座を目指すようになります。ただし大老職は、井伊・酒井・七井・堀田の四家からしか出せない決まり。定信自身は候補外でした。
それでも「ロシア問題をうまく治めれば、後押ししてやろう」と徳川宗睦に言われ、定信の胸は高鳴ります。
やがて定信は長い検討の末、オランダと清国以外との通商を禁じるという公式文書をまとめ、ロシア使節ラクスマンに送付。
長崎への入港許可証・信牌を添えたことで、ラクスマンはこれを国王に届けるため帰国しました。
この報告を受けた家斉は「見事な采配」と定信を称えます。けれども、この評価が後に皮肉な結末を呼ぶことに。
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歌麿の独立
そんな中、江戸の版元・鱗形屋孫兵衛の長男・長兵衛が蔦屋を訪ねてきました。
重三郎がかつて手がけた人気黄表紙『金々先生栄花夢』の板木を譲りたいという話。
喜ぶ重三郎でしたが、話の途中で思いがけないことを耳にします。
「弟の万次郎が、西村屋に養子に行って、今度は歌麿と仕事をするらしい」
驚いた重三郎はその足で歌麿の家へ。
問い詰めると、歌麿は静かに言いました。
「もう、蔦屋とは組まない」
理由は、作品の署名にあったわずかな順番。絵師の名が蔦屋の名より下に置かれていたことが、どうしても納得できなかったのです。
さらに「自分の絵を別の本屋で出していきたい」と打ち明けます。重三郎は声を荒げました。
「吉原をどうするんだ! みんな、お前が立て直してくれるのを待ってるんだ!」
しかし歌麿は譲りません。
「恩の返し方は人それぞれ。俺は俺のやり方で返す」
必死に食い下がる重三郎に、歌麿は冷たく告げます。
「なんでもすると言うなら、蔦屋をくれよ」
家を継ぐていと子どものことを思い、重三郎は首を振りました。
「できねぇ。守るもんがある」
「いつもそうだ。お前のためって言いながら、俺の欲しいもんは何一つくれねぇ」そう言い残し、歌麿は背を向けました。
夕方になり、歌麿が部屋に戻ると、重三郎からの手紙が残されていました。
「二十年、俺についてきてくれてありがとな。体を大事にしろ。当代一の絵師なんだから」
重三郎の筆跡がにじむその文は、二人の長い絆の終わりを静かに告げていました。
崩れゆく秩序
その夜、重三郎の妻・ていが突然の陣痛に襲われました。
月の数にはまだ早く、産婆も「助かるかどうかはわからない」と首を振るほど。
重三郎は神棚に手を合わせ、ただ無事を祈りました。
しかし願いは届かず、産まれた子の命は短く途絶えます。
重三郎は深い悲しみに沈みながらも、ていの手を握りしめ、静かに涙を流しました。
その頃、定信もまた運命の転機を迎えていました。
ロシア問題を解決した功績を盾に、家斉へ「職務を減らしたい」と願い出ていたのです。
実は、将軍補佐と老中を解く代わりに“大老職”を与えるという密約が交わされていました。
喜び勇んで登城した定信を待っていたのは、無情な言葉でした。
「越中守、そなたの願いを聞き届ける。将軍補佐および老中の職を許す。政から離れ、ゆるりと休むがよい」
一瞬、時が止まりました。
すべては家斉と本多忠籌、そして治済による仕組まれた罠。
定信は、幕政の中心から完全に追放されたのです。
この報せが江戸の町を駆け抜けると、人々は歓声を上げ、祭りのように喜びました。
かつて倹約令で苦しめられた庶民にとって、定信の失脚はまさに“溜まりに溜まったうっぷん”のはけ口でもあったのです。
静かな夜、重三郎の家には、子を失った悲しみと、歌麿との別れの余韻が重く漂っていました。
世の中は変わりつつありました。
時代の潮が、確実に次のうねりへと向かい始めていたのです。
2025年大河ドラマ|べらぼうのあらすじとネタバレ全話まとめ
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べらぼう第43話の見どころ解説
べらぼう第43話はなかなかつらい展開になりそうです。
タイトルからして、辛そうですよね「裏切りの恋歌」。
その名の通り、これまで寄り添い歩んできた者たちの“絆の綻び”が描かれる、胸に刺さる一話です。
長年の相棒だった蔦屋重三郎と喜多川歌麿。
互いを信じ、支え合ってきた二人が、ついに決定的なすれ違いを迎えます。
「お前のためと言いながら、俺の欲しいものは何一つくれなかった」
――この歌麿の言葉は、単なる反発ではなく、芸術家としての自立を賭けた叫び。そして、歌麿には本当に欲しいものがあった、決して打ち明けられないけれど…というところでしょうか。
それでもなお、重三郎が「吉原を救いたい」という理想を手放せない姿が切なく、観る者の胸を締めつけそうです。
そして、物語の後半をさらに重く包むのが、妻・ていの流産。
命の誕生を目前にして訪れる別れは、重三郎の人生に深い影を落とします。
第43話は、成功の裏にある代償、そして「信じるとは何か」を問いかける、静かながら心揺さぶる回となりそうです。
史実、蔦屋重三郎には子供がいたのでしょうか?
奥さんに関する記録がほとんど残っていないことから、実はお子さんがいたという記録は見つかりません。
跡継ぎについてもこちらの記事にもまとめていますので、よかったらご覧になってください。
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