2025年NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」がいよいよスタート!
物語の舞台は、尾張の国・中村。のちに天下人へと駆け上がる兄・藤吉郎と弟・小一郎が、まだ名もなき百姓として生きていた頃の姿が描かれます。貧しさの中で培われた知恵と才覚、そして兄弟それぞれの価値観の違いが、早くも物語を大きく動かしていきます。
この記事では、2026年NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」第1回のあらすじをご紹介します。ネタバレを含みますのでご注意ください。
豊臣兄弟!|第1話のネタバレとあらすじ
尾張・中村に生きる名もなき兄弟
尾張の国・中村の地に、貧しくもたくましく暮らす兄弟がいました。兄は藤吉郎、弟は小一郎。のちに天下へと駆け上がるこの二人は、まだ名もなき百姓の子でした。
永禄二年の早春、小一郎は畑で起きた百姓同士の争いを仲裁し、双方が納得する策を示して事を収めます。理屈を立て、人の話を聞き、場を整える力。小一郎の才覚は、すでに村の中で際立っていました。
そこへ戦の知らせが届き、村人たちは慌ただしく戦支度に走ります。しかし小一郎は動きません。戦場での盗みをよしとせず、姉のともに叱られながらも信念を曲げなかったのです。
兄の藤吉郎は八年前、盗みの疑いをかけられ村を出奔したまま。家族は「ぬすっとの身内」として肩身の狭い思いをしてきました。
八年ぶりの再会と運命の嘘
小一郎は生きる道を求め、村の有力者・坂井喜左衛門の屋敷へ奉公を願い出ます。しかし願いはすげなく断られます。そこに坂井の娘で幼なじみの直が割って入り、父を説得しようとしたその時、野盗が現れ、直を連れ去ろうとしました。
とっさに小一郎は、直は清須の殿様に見初められた娘だと大胆な嘘をつきます。その瞬間、甲冑姿の侍が現れ名乗りました。
「織田家足軽大将、木下藤吉郎」
それは、行方知れずだった兄でした。野盗は退き、兄弟は八年ぶりの再会を果たします。
藤吉郎は屈託なく清須へ来いと誘いますが、小一郎は簡単にはうなずけません。身分の違い、家族の事情、直への思い。迷う小一郎に、藤吉郎は語ります。
「力ある者を見てくださるお方だ」
藤吉郎が仕える主は、織田信長でした。
清須の道普請で示された才覚
寺の了雲和尚の口添えで、小一郎は清須で道普請の仕事に加わります。
現場では信長の政策に熱を上げる人足たちが働いていましたが、小一郎は疑問を口にします。道を整えれば、敵にも使われるのではないか。その一言で殴られてしまうほど、現場の空気は張り詰めていました。
やがて土砂崩れが起き、工事は中断の危機に陥ります。逃げ出そうとする人足たちを前に、小一郎は冷静に状況を見極め、それぞれの得意分野ごとに役割を分けて指揮しました。
翌朝、道は見事に完成。名もなき百姓の采配が、多くの者を動かした瞬間でした。
兄の闇と弟の決別
清須で暮らす藤吉郎の住まいは、足軽大将を名乗るにはあまりに粗末でした。ほどなくして、柴田勝家の屋敷で盗みが起き、藤吉郎に疑いがかかります。
汚名を晴らすため、真の盗人を捕らえると約束した藤吉郎は、小一郎に協力を求めました。月のない夜、二人は城内で張り込みをします。そこで藤吉郎は語ります。
「わしは、皆に好かれたい」
見下され、嫌われてきた過去。その思いが、藤吉郎を突き動かしていました。
現れた不審な男を挟み撃ちにした瞬間、男は小一郎に斬りかかります。迷いなく男を斬った藤吉郎。その懐には、斎藤義龍へ宛てた密書がありました。大手柄と思われたものの、計略はすでに別口から信長に伝えられており、褒美はありません。
村へ帰る決意を固めた小一郎は、震える手を見つめながら藤吉郎に告げます。
「恐ろしかったのは、兄者だ」
こうして兄弟は別れ、それぞれの道を歩み始めるのです。
天下への夢は、まだ始まったばかりでした。
次回 第2話 >>
2026年大河ドラマ|豊臣兄弟!のあらすじとネタバレ全話まとめ
豊臣兄弟!第1話の見どころ解説
2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」がいよいよ始まりました。
第1回「二匹の猿」は、いわゆる“英雄誕生譚”というより、名もなき兄弟がどんな価値観を抱えて生きていたのかを、じっくり見せてくる導入回になりそうです。戦や合戦の派手さは控えめですが、そのぶん人となりがよく分かる構成で、大河ファンとしては期待が高まります。
まず気になるのは、兄・藤吉郎と弟・小一郎の対照性です。
人に好かれたい、見下されたくないという藤吉郎の強い欲求と、理屈や筋を重んじ、盗みを嫌う小一郎の慎重さ。このズレが、早くも物語の芯として描かれています。後に歴史を動かす兄弟が、最初から同じ方向を向いていない点は、とても大河らしい面白さですね。
清須での道普請の場面も見どころです。力ではなく段取りと観察で人を動かす小一郎の姿は、「武より知」の物語であることをはっきり印象づけます。一方で、藤吉郎が語る野心や承認欲求は、後に織田信長のもとで花開く片鱗として、しっかり刻まれていそうです。
そして最大の注目点は、夜の密命の結末でしょう。迷いなく刀を振るう藤吉郎を前に、小一郎が感じた恐怖。この感情は、単なる兄弟げんかでは終わらず、二人の進む道を分ける決定的な瞬間になるのではないでしょうか。