2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で、白石聖さんが演じる「直(なお)」というキャラクターが注目されていますね。
豊臣秀長(小一郎)の幼なじみで初恋の相手として描かれる直ですが、果たして彼女は実在した人物なのでしょうか?
この記事では?直のモデルとなった可能性がある歴史上の人物や、正室・慶(ちか)との関係について詳しく解説します。
豊臣兄弟!直(なお)の実在モデルは?
2026年1月4日から放送開始のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」は、豊臣秀吉の弟・豊臣秀長(仲野太賀)を主人公とする戦国ドラマ。脚本は「半沢直樹」「下町ロケット」の八津弘幸さんが担当し、秀長の目線から戦国時代を描く注目作となっています。
この作品で白石聖さんが演じる直は、小一郎(豊臣秀長)と藤吉郎(豊臣秀吉)の故郷である尾張中村の土豪の娘という設定です。
NHKの公式発表によると、直は「小一郎と同い年の幼なじみ。男勝りな性格だが、小一郎のことをひそかに慕っている。乱世に翻弄される悲劇のヒロイン」として描かれます。
当初、直役は永野芽郁さんがキャスティングされていましたが、2025年5月に所属事務所からの申し出により出演を辞退。
同月22日に白石聖さんが代役として起用されることが発表されました。白石聖さんにとっては大河ドラマ初出演となります。
史実における豊臣秀長の周辺人物を調査
豊臣秀長は1540年に生まれ、1591年に52歳で病没しました。
兄・秀吉を支え続けた「天下一の補佐役」として知られ、最終的には大和・紀伊・和泉を領する100万石超の大大名となりました。
「もし秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言われた重要人物です。
史実を調べると、秀長の正室(正妻)は「慈雲院(じうんいん)」または「智雲院」と呼ばれる女性で、出自については詳細が不明です。法興寺の尼僧だった彼女に秀長が惚れ込み、秀長が46歳頃(1585〜1586年頃)に結婚したと伝わっています。大河ドラマでは、この正室を「慶(ちか)」という名前で吉岡里帆さんが演じます。
また、秀長には「摂取院光秀(せっしゅいんこうしゅう)」という側室もいたことが史料に残っています。彼女は秋篠伝左衛門の娘とされています。
直(なお)のモデルとなった可能性がある実在人物
結論から言うと、「直」という名前の女性が豊臣秀長の幼なじみとして実在したという史実上の記録は存在しません。時代考証を担当する柴裕之さん、黒田基樹さんの研究書にも、直に該当する人物の記述はありません。
では、直は完全な創作キャラクターなのでしょうか?いくつかの可能性が考えられます。
モデル候補①:秀長の娘「きく(大善院)」の実母
豊臣秀長には実子の娘が2人いたことが史料から確認できます。
1人は側室・摂取院光秀との間に1587年に生まれた長女(秀長の養子・豊臣秀保の妻となった)、もう1人は1588年に生まれた次女「きく」(のちの大善院)です。
注目すべきは、この次女「きく」の実母が誰なのか、史料では明らかになっていない点です。正室の慈雲院が母親なのか、それとも別の女性なのか不明なのです。
柴裕之さんと黒田基樹さんの研究でも、きくの生母は「不明」とされています。
この「母親が不明」という空白部分に、ドラマのオリジナルキャラクターである直を配置する可能性があります。
つまり、直が秀長の娘・きくを産んだ女性として描かれる可能性です。ただし、きくが生まれたのは秀長が48歳の時で、秀長はその3年後に亡くなっています。
モデル候補②:秀長の若い頃の恋愛対象として創作された人物
NHKの役柄説明では、直は「悲劇のヒロイン」とされています。
「小一郎のことをひそかに慕っている」という設定から、直は秀長を想い続けるものの結ばれない、あるいは身分の違いなどで離ればなれになる運命にあると推測されます。
史実では、豊臣秀長が正式に結婚したとされる女性の記録は慈雲院と摂取院光秀の2人のみです。
つまり、直は秀長と結婚する前段階で物語から退場するか、別の形で秀長の人生に影響を与える存在として描かれる可能性が高いでしょう。
豊臣秀長と直(なお)・慶(ちか)の関係性
豊臣秀長は、兄・秀吉が織田信長に仕えて出世していく過程で、1561年頃(21歳頃)に兄の家来となり武士の道を歩み始めました。当初は農民として田畑を耕す平穏な生活を送っていましたが、兄の誘いで歴史の大舞台に立つことになります。
豊臣秀長の生涯と彼を支えた女性たち
秀長の活躍は多岐にわたります。中国攻めでは但馬国平定の指揮を任され、四国征伐では総大将として長宗我部元親を降伏させました。また、九州平定にも参加し、秀吉の天下統一事業を軍事・政治の両面から支え続けました。
特筆すべきは秀長の「調整力」です。感情的になりがちな秀吉を諫め、諸大名との交渉を成功させ、豊臣政権内部の対立を仲裁する役割を果たしました。徳川家康との良好な関係構築にも貢献し、まさに豊臣政権の要でした。
しかし、秀長の結婚は遅く、正室の慈雲院と結婚したのは46歳頃です。戦国武将としては異例の晩婚で、側室も1人のみという真面目な性格が窺えます。
ドラマで描かれる直と慶(ちか)の関係性
大河ドラマ「豊臣兄弟!」では、秀長を巡る2人の女性、直(白石聖)と慶(吉岡里帆)の関係性が重要な要素となりそうです。
直は秀長の幼なじみで初恋の相手。尾張中村という故郷で育った関係です。一方、慶は秀長の正室として生涯を共にする女性。ドラマでは、慶(ちか)の父を美濃三人衆の一人・安藤守就(田中哲司)とする設定になっています。
ある考証では、秀長が織田信長から「嫁を取れ」と命じられるのは、第12話「小谷城の再会」で岐阜城を訪れた際とされています。そこで安藤守就の娘である慶が登場し、政略結婚的な要素が絡む展開になると予想されます。
つまり、直は秀長の青春時代を彩る淡い恋の相手、慶は秀長の出世後に迎える政治的にも重要な正室という対比構造になっていると考えられます。
直が「悲劇のヒロイン」とされるのは、身分や運命に翻弄され、想いを遂げられない切ない展開が待っているからでしょう。
創作キャラクターに史実の要素を組み込む大河ドラマの手法
大河ドラマでは、史実に基づきながらも視聴者が感情移入しやすい物語を作るため、創作要素が積極的に取り入れられます。
特に史料の記録が乏しい女性キャラクターについては、時代考証に基づいた「あり得たであろう姿」として描かれることが多いのです。
直(なお)というキャラクターも、この手法で創造されていると考えられます。史実では、秀長が若い頃にどのような人間関係を築いていたのか、詳細な記録はほとんど残っていません。
兄・秀吉が家を出てから長い間疎遠だったこと、農民として生活していたこと、そして突然武士の道に進んだことは分かっていますが、その間の感情や人間模様は謎に包まれています。
直は、この空白期間を埋め、秀長という人物の人間性を視聴者に伝えるための重要な役割を担っているのです。
戦国時代の女性たちは表舞台には立たないものの、男性たちの決断や生き方に大きな影響を与えていました。直を通じて、そうした女性たちの存在や想いが描かれることで、豊臣兄弟の物語がより立体的で感動的なものになるでしょう。
豊臣兄弟!で直(なお)を演じるのは白石聖
大河ドラマ「豊臣兄弟!」で直を演じるのは白石聖さんです。
白石聖のプロフィール
白石聖さんは1998年神奈川県生まれ。高校生の時に原宿でスカウトされて芸能界入りし、2016年に俳優デビューしました。2017年には人気漫画原作の配信ドラマ「I"s(アイズ)」のヒロイン役に約700名のオーディションから選ばれ、注目を集めました。
2019年には結婚情報誌「ゼクシィ」のCMガールに起用され、一躍人気女優の仲間入りを果たします。2020年にはドラマ「恐怖新聞」で初主演を務め、その後も「silent」「フェルマーの料理」「幽☆遊☆白書」など数多くの話題作に出演してきました。
白石さんの演技の特徴は、控えめながらも芯の強さを感じさせる繊細な表現力にあります。
大げさな演技ではなく、表情や視線の微妙な変化で複雑な心情を伝える技術に長けており、時代劇のような抑制された演技が求められる作品にも適しています。
「I"s」での可憐なヒロイン役から、「時をかけるバンド」での気の強いバンドのリーダー役まで、幅広い役柄を演じ分ける力も評価されています。今回の直役では、男勝りな性格ながら秀長を慕う複雑な感情を持つ女性をどう演じるのか、期待が高まります。
『豊臣兄弟!』における直の魅力
白石聖さんが演じる直は、単なる恋愛要素を加えるためのキャラクターではなく、豊臣秀長という人物の人間性を深く掘り下げるための重要な存在になると考えられます。
秀長は史実では温厚で思慮深く、多くの人から信頼される人物として記録されています。しかし、なぜ彼がそのような性格になったのか、若い頃にどのような経験をしたのかは謎です。直というキャラクターを通じて、秀長の優しさや誠実さがどのように形成されたのかが描かれるかもしれません。
また、「悲劇のヒロイン」という設定から、直は身分の違いや戦乱という時代背景によって、秀長と結ばれない運命にあると予想されます。想いを遂げられない切なさ、それでも相手の幸せを願う健気さが、視聴者の心を打つことでしょう。
さらに注目したいのは、直と正室・慶との関係です。
もし直が物語の後半まで登場するのであれば、慶との間に複雑な感情や緊張感が生まれる可能性があります。歴史研究者の考察でも、「この直と慶の関係において、何かしら化学反応が起きる」という予想がなされています。
単なる従順な妻や優しい女性という単純な構図ではなく、それぞれの立場や想いが交錯する人間ドラマが期待できます。
視聴者が注目すべき直と豊臣兄弟の関係性
直は秀長だけでなく、兄・秀吉(池松壮亮)との関係も重要です。
直が尾張中村の土豪の娘という設定であることから、直の父が秀吉を憎んでいるという背景も明かされています。この複雑な関係性が、物語にどのような影響を与えるのか注目です。
第1回「二匹の猿」では、野盗の集団が村を襲い、直が連れ去られそうになるピンチを、8年ぶりに村に帰ってきた秀吉が救うという展開が描かれます。この出来事が、秀長と直、そして秀吉と直の関係にどのような変化をもたらすのでしょうか。
また、秀長が故郷を離れて武士の道を歩み始める時、直はどのような想いで彼を見送るのか。歴史の大きな波に飲み込まれ、遠くへ行ってしまう秀長を思う直の切ない心情が、白石聖さんの繊細な演技で表現されることが期待されます。
まとめ|直は実在したのか、モデルは誰なのか
豊臣兄弟!で白石聖さんが演じる「直」は、史実に実在した記録がある人物ではなく、ドラマのために創作されたオリジナルキャラクターである可能性が極めて高いと結論づけられます。
ただし、完全な空想の産物というわけでもありません。豊臣秀長の娘「きく」の実母が史料では不明であることや、秀長の青年期の人間関係が詳しく記録されていないことなど、史実の「空白部分」を埋める形で創作されたキャラクターと考えられます。
一方、正室の「慶(ちか)」は実在の人物・慈雲院をモデルにしています。
高野山奥之院の五輪塔に刻まれた法号「慈雲院芳室紹慶」の「慶」の字を取って命名されたと考えられます。ドラマでは慶の父を安藤守就とする設定になっていますが、実際の慈雲院の出自は不明です。
このように、大河ドラマは完全な史実の再現ではなく、史実をベースにしたエンターテインメント作品です。「当時の人々はこのように生きていたかもしれない」という視点で楽しむことで、より深く作品の世界に浸るのではないでしょうか?
2026年1月4日から始まる大河ドラマ「豊臣兄弟!」。白石聖さんの繊細な演技で描かれる直と、吉岡里帆さんが演じる慶、そして仲野太賀さん・池松壮亮さんの豊臣兄弟が織りなす人間ドラマに、期待が膨らみますね!