恋川春町はいつ処罰された？弾圧の理由や蔦屋重三郎との関係を解説｜べらぼう深掘り

2025年の大河ドラマ『べらぼう』に登場する黄表紙作家・恋川春町。べらぼう第19話では特に恋川春町がフォーカスされる回です。

恋川春町は実在した人物で、江戸時代に処罰を受けたという過去を持っています。

いったい恋川春町はいつ、なぜ処罰されたのか？そして、蔦屋重三郎との関係や、『べらぼう』でのキャスティングにも注目が集まっています。

この記事では、次のようなポイントをわかりやすく解説します

 恋川春町とはどんな人物？『べらぼう』で話題の黄表紙作家

2025年の大河ドラマ『べらぼう』に登場し、再び脚光を浴びている恋川春町（こいかわ はるまち）。恋川春町は江戸時代中期に活躍した戯作者であり、黄表紙というジャンルを切り拓いた立役者です。その名を聞くと、「ああ、あの洒落っ気たっぷりの小説を書いた人か」と頷く出版好きも少なくないでしょう。

恋川春町の生い立ちと生涯

恋川春町は延享元年（1744年）、紀州徳川家に仕える桑島勝義の次男として誕生しました。その後、伯父・倉橋勝正の養子となり、駿河小島藩の藩士となります。つまり、元々はれっきとした武士だったわけです。

彼が「恋川春町」という筆名を名乗ったのは、仕えていた小島藩の江戸屋敷が小石川春日町にあったことに由来します。江戸に暮らしながら、公務の傍らで文芸活動を始めた春町は、戯作と呼ばれる風刺的な読み物の世界に惹かれていきました。

そして、黄表紙という挿絵入りの娯楽本でその才能を開花させていきます。武士でありながらも文筆の世界で名を馳せた人物、それが恋川春町です。

しかし、寛政元年（1789年）になると、その創作活動は一転します。幕府からの呼び出しを受けた後、病を理由に出頭せず、同年7月に亡くなりました。享年46。恋川春町が処罰を受けた理由については後述しますが、結果的にこれが恋川春町の最期となりました。

黄表紙の代表作とその影響

春町の名を一躍世に知らしめたのが、明和2年（1775年）に刊行された『金々先生栄花夢（きんきんせんせい えいがのゆめ）』です。この作品は、夢の中で出世と栄華を手にするものの、すべては虚構だったと気づくという、どこか教訓めいた構成になっています。

ただ、その真骨頂は内容だけでなく、洒落や風刺の効いた文章、そして精緻な挿絵との掛け合わせにありました。当時の読者にとっては、笑いながらもどこか身につまされる──そんな読後感があったことでしょう。

この作品のヒットをきっかけに、黄表紙は一躍人気ジャンルへと成長します。黄表紙とは、当時流行した大人向けの絵入り小説で、庶民の暮らしや時事問題を洒脱に描いたもの。春町の影響で多くの作家がこのジャンルに参入し、江戸の出版文化が一気に華やぎました。

つまり、恋川春町は単なるヒットメーカーにとどまらず、江戸文学の一大潮流を生み出した仕掛け人だったのです。その功績は、今なお評価され続けています。

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 恋川春町はなぜ処罰された？時期と弾圧の背景を解説

2025年の大河ドラマ『べらぼう』で再び注目を集める恋川春町ですが、春町の創作活動には思わぬ“終止符”が打たれることになります。背後にあったのは、幕府による厳格な出版統制でした。その動きを読み解くと、江戸の言論・文化の限界も見えてきます。

処罰はいつ？寛政元年の動き

恋川春町が幕府から呼び出しを受けたのは、寛政元年（1789年）。この頃、天明の大飢饉の混乱を経て、幕府は風紀の引き締めを急いでおり、庶民の笑いや皮肉を込めた表現すらも“問題視”される空気が強まっていた時期。

春町は幕府からの呼び出しに病を理由に出頭せず、そのまま同年7月に46歳でこの世を去ります。公的な処罰を受けたかどうかには諸説ありますが、黄表紙の第一人者としての活動は事実上ここで途絶えることになりました。政権の圧力が、恋川春町の筆を止めたのです。

弾圧の理由は？

春町が標的となった背景には、老中・松平定信が主導した「寛政の改革」があります。

この改革は、贅沢や風紀の乱れを取り締まることを目的とした政策で、出版物への締め付けも強化されました。とりわけ、洒落や風刺を含む黄表紙や洒落本は、幕府から「風俗を乱す」として危険視される存在に。春町の作品もその例外ではなく、内容が体制批判と見なされたことで、弾圧の対象となったのです。

黄表紙に対する取り締まり

黄表紙は、庶民の生活や社会風刺を巧みに描いた大人向けの読み物として人気を博しました。

ところが、寛政の改革以降、その“笑いの裏側”にある批判精神が問題視され始めます。幕府は風刺を「秩序を揺るがすもの」とみなし、次第に出版の自由を奪っていきました。

恋川春町のように、筆一本で時代を動かそうとした作家たちにとって、それは深刻な危機でした。表現者が描く世界に、政権が干渉しはじめたことで、江戸の出版文化は大きな転機を迎えることになったのです。

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恋川春町と蔦屋重三郎の関係とは？

江戸時代中期、出版業界を席巻した蔦屋重三郎と、黄表紙の祖と称される恋川春町。二人の出会いは、江戸の出版文化に新たな風を吹き込むきっかけとなります。その協力関係がどのように築かれ、どのような影響を残したのかを見ていきましょう。

出版を支えた蔦屋重三郎との協力関係

恋川春町が1775年に発表した『金々先生栄花夢』は、黄表紙という新たなジャンルの礎となりました。その後、蔦屋重三郎と手を組み、1783年には『猿蟹遠昔噺』などの作品をともに世に送り出しています。

蔦屋重三郎は、春町の風刺と洒脱な筆致に着目し、流通や販売の面で支援を行いました。おかげで春町の作品はより多くの読者に届き、黄表紙の人気も拡大していきます。

一方、蔦屋重三郎にとっても、春町の作品はその評判を押し上げる原動力となりました。二人は、まさに時代の文化を牽引する“共犯者”とも言える存在だったのです。

同時期に弾圧を受けた“文化人ネットワーク”

春町と蔦屋重三郎の周囲には、朋誠堂喜三二、大田南畝といった文化人たちが集い、自由な発想と遊び心に満ちた作品を次々と発表していました。彼らは単なる作家や版元ではなく、江戸の庶民文化を底支えする創造集団でもありました。

しかし、松平定信による寛政の改革が始まると、状況は一変します。風紀を乱すとされた作品群は次々に規制され、出版の自由は大きく後退しました。こうして、春町や蔦屋が築いた“文化人ネットワーク”も、時代の逆風をまともに受けることとなったのです。

黄表紙・洒落本の衰退

寛政の改革による統制は、黄表紙や洒落本といったジャンルの衰退を加速させました。春町は幕府からの召喚を受けた後、病を理由に姿を見せることなく、そのまま世を去ります。蔦屋重三郎もまた、出版活動に大きな制限を課されました。

とはいえ、二人が協力して生み出した作品は、江戸文化の象徴とも言える存在です。笑いと風刺、そして粋を忘れない物語の数々は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。春町と蔦屋の足跡は、単なる出版の枠を超えた“文化の遺産”として評価されるべきものでしょう。

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処罰後の春町の運命とその死因

寛政の改革による出版統制の強化は、恋川春町の創作活動に深刻な打撃を与えました。表現の自由が奪われていくなかで、春町はどのような晩年を迎えたのでしょうか。

文筆活動の停止とその後の消息

寛政元年（1789年）、『鸚鵡返文武二道』の刊行を最後に、恋川春町は幕府から出頭を命じられます。しかし体調不良を理由に応じることなく、正式に隠居を選びました。以降、公の場に姿を見せることもなく、創作の筆も止まることとなります。

朋誠堂喜三二や鳥山石燕、勝川春章ら文人との交友も徐々に途絶え、かつて活気に満ちていた創作の場から静かに退いていきました。一説には、隠居中に私的な詩や随筆を綴っていたとも言われていますが、それが世に出ることはありませんでした。

恋川春町の死因は不明？早すぎる晩年

春町は同年7月7日（西暦で言うと1789年8月27日）、46歳の若さで世を去ります。病没とされる一方で、自死だったという説もあり、真相は今なおはっきりしていません。

養家である倉橋家の名誉を汚してしまったという心の負い目や、急激に変化する時代に翻弄された精神的な疲弊が、背景にあったのではないかとも推測されています。いずれにせよ、その死はあまりにも突然で、関係者に大きな衝撃を与えました。

春町が江戸文化に残したもの

黄表紙という新たなジャンルを築き、洒落や風刺を通じて庶民の暮らしを描き出した恋川春町。その作品は、単なる娯楽ではなく、時代の空気や人々の価値観を映し出す鏡でもありました。

春町が文化にもたらした影響は計り知れません。出版統制という時代の荒波に呑まれながらも、残された作品群は今なお江戸文化の豊かさを伝える貴重な遺産として読み継がれています。

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『べらぼう』で恋川春町を演じるのは岡山天音！

2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で、江戸時代の戯作者・恋川春町を演じるのは、俳優の岡山天音（おかやま あまね）さん。

独自の存在感と繊細な演技力で知られる岡山天音さんが、歴史上の人物をどのように表現するのか、注目が集まっています。

岡山天音のプロフィール

岡山天音さんは、2009年にNHKのドラマ『中学生日記』で俳優デビュー。

以降、映画やドラマで多彩な役柄を演じ、若手実力派俳優として注目を集めています。特に、映画『ポエトリーエンジェル』では主演を務め、第32回高崎映画祭で最優秀新人男優賞を受賞しました。

配役への反応とSNSの声

岡山天音さんが恋川春町を演じることが発表されると、SNS上では多くの反響がありました。

「岡山天音が春町役なんて楽しみすぎる」「春町の繊細な部分を岡山くんがどう表現するのか期待」といった声が寄せられています。また、岡山天音さん自身も『べらぼう』の出演に際し、

恋川春町という人物を深く理解し、丁寧に演じたい

とコメントしています。

岡山天音さんの持つ独特の雰囲気と演技力が、恋川春町という歴史上の人物に新たな命を吹き込むはず。『べらぼう』での岡山の演技に、ぜひ注目してみてください。

以上、今回は恋川春町がいつ処罰されたのか、その理由や蔦屋重三郎との関係についてご紹介しました。

2025年の大河ドラマ『べらぼう』を通じて注目を集めている恋川春町ですが、彼の歩んだ道のりは、江戸の出版文化そのものを映す鏡でもあります。弾圧の中で筆を折ることになりながらも、黄表紙という新たなジャンルを切り開いた功績は色あせることがありません。

岡山天音さんの演技とともに、べらぼうを楽しみたいですね。