作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と妻・小泉セツの間には、4人の子どもが生まれました。
ふたりの子孫は現在も日本各地で活躍しており、その中には小泉八雲記念館館長の小泉凡さんをはじめ、学問や文化活動を通じて先祖の志を受け継ぐ人々もいます。
この記事では、
- 小泉八雲とセツの間に生まれた子供について
- 小泉八雲とセツの子孫が現在どのように続いているのか
についてお伝えします。
小泉八雲と小泉セツの子孫は?子供は4人
明治期の文豪として知られる小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻・セツ。
小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の間には4人の子供がいました。まずここでは、その名前や誕生年、さらに成長してからどのような人生を歩んだのかを紹介します。
小泉八雲とセツの間に誕生した子供たち
- 長男:小泉一雄(1893年生まれ)
- 次男:稲垣巌(1897年生まれ)
- 三男:小泉清(1899年生まれ)
- 長女:小泉寿々子(1903年生まれ)
小泉八雲(ハーン)が亡くなった1904年の時点で、一雄は10歳、巌は6歳、清は4歳、寿々子はまだ1歳と幼い子供たちでした。
子供たちの名前やその後の歩み
小泉セツと八雲の子供たちはどのような人生を送ったのでしょうか。ひとりずつ見ていきましょう。
小泉一雄(長男)
一雄は父の文学的な遺産を守り伝える役割を担った人物です。
著書『父小泉八雲』を執筆し、ハーンの人となりや家族との思い出を世に残しました。
また、教育者としても活動し、生徒や周囲から「人格円満な良き教師」と評されています。
父の遺稿整理や書簡の編集にも尽力し、文学研究において欠かせない存在となりました。
稲垣巌(次男)
巌は幼いころ、母セツの養家である稲垣家の養子となったため「稲垣」の姓を名乗りました。
英語教育に携わった記録があり、学問の道へと進んだことが伝わっています。
京都帝国大学に学んだという話もありますが、その後は中退したとも言われ、人生の軌跡には謎も残ります。
巌は恋愛や結婚のエピソードも語られていますが、晩年は病に倒れ、比較的早く世を去ったとされます。
小泉清(三男)
清は芸術の道を志した人物でした。
東京美術学校(現在の東京藝術大学)に進み、美術を学んだそうです。画家として活動したとも伝わり、清の作品は断片的に伝えられるものの、詳細な記録は限られています。
それでも、兄弟の中で文化的な表現に強く惹かれた存在です。
小泉寿々子(長女)
寿々子は1903年に生まれましたが、翌年に父ハーンが亡くなったため、父の記憶を直接語ることはほとんどできない立場にありました。
幼少期には病弱だったとされ、その後の人生について残されている記録は多くありません。
それでも、唯一の娘として家族の中で大切に育てられたことは間違いないでしょう。
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小泉八雲とセツの子孫の現在は?
セツとハーン(小泉八雲)の子どもたちから始まった系譜は、今も続いています。今では曾孫や玄孫の世代にあたる多くの方々が、それぞれの場所で活躍しています。
その中から、ここでは小泉凡さん、小泉達矢さん、守谷天由子さんについてご紹介します。
みなさん「八雲の血を引く子孫」として活動されています。
小泉凡さん
小泉セツさんとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の曾孫にあたるのが、小泉凡さんです。
1961年に東京で生まれ、1987年に松江へIターン。以来、八雲ゆかりの地で文化や研究に携わり続けています。
凡さんは現在、小泉八雲記念館の館長を務めるほか、島根県立大学短期大学部の名誉教授としても知られています。妖怪や怪談といったテーマを入り口に、地域の文化資源を掘り起こし、観光や文化創造につなげる実践研究を続けてきました。
また、八雲が大切にしていた「オープン・マインド(心を開くこと)」を社会に活かすプロジェクトを、世界各地のゆかりの地で展開しています。活動は国内にとどまらず、海外交流の分野にも広がっているのですね。
著書も多く、『民俗学者・小泉八雲』(恒文社、1995年)、『怪談四代記―八雲のいたずら』(講談社、2014年)、『小泉八雲と妖怪』(玉川大学出版、2023年)などを執筆。
子孫としてだけでなく、研究者・実践者として八雲の文化を現代に伝え続けています。
小泉達矢さん
小泉達矢さんもまた曾孫世代にあたり、先に紹介した小泉凡さんとは「はとこ」の関係になります。
1962年(昭和37年)、東京都港区に生まれた達矢さん。暁星高等学校を卒業後、東海大学工学部通信工学科に進学しましたが中退。その後、東京YMCA英語専門学校の実務英語科を卒業されています。
現在は機械製造会社に勤務し、海外営業を担当。グローバルな舞台で活躍している姿は、外国文化に関心を持ち続けたハーンの面影を思わせますね。
また、趣味は合唱と読書。音楽や文学といった文化に親しんでいる点も、八雲の家系らしい一面といえるでしょう。
小泉凡さんと達矢さんの対談の映像がありましたので、ご紹介します。
守谷天由子さん
守谷天由子さんは玄孫にあたると紹介される方です。アートやジュエリーデザインを手がけながら、「自分が八雲の子孫である」という意識を強く持って表現活動を続けています。
ご自身のブログや発信の中では、
「28歳のときに、自分が八雲の血を引くことを改めて意識した」
と綴っており、それが創作の大きな原点になっているそうです。国際的な暮らしや経験を作品に投影している点も印象的です。
YouTubeでの発信もされているので、ご紹介します。
小泉セツさんとラフカディオ・ハーンの子孫として3人の方々をご紹介しましたが、おそらくこのほかにもそれぞれの道を歩んでいる子孫の方々がいらっしゃるのでしょう。
公に語られることは少なくても、八雲とセツの物語は、今もさまざまな形で受け継がれているのだと感じます。
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