2025年の朝ドラ『ばけばけ』で描かれるヒロインのモデルとなったのが、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツです。
小泉セツとはどんな人だったのでしょうか?
この記事では
- 小泉セツの生い立ちや家族背景
- 小泉八雲との出会いと結婚生活
- 髙石あかりさんのプロフィールと代表作
についてお伝えします。
ばけばけモデル・小泉セツとはどんな人?
小泉セツは、作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻として知られる女性です。
武家の家に生まれたものの、明治維新のあおりを受けて家は没落。幼い頃から家計を支えるために働きに出るなど、決して恵まれた環境ではありませんでした。
けれど、その厳しい環境がセツの強さや優しさを育み、のちに八雲を生涯にわたって支える力につながっていきます。
生まれと家族背景
セツは1868年(慶応4年)2月4日に島根県松江市で生まれました。
父の小泉湊は松江藩の武士、母のチエは塩見家の出身と伝わっており、セツは6人きょうだいの次女として育ちます。
生まれてすぐ、子どもを授からなかった稲垣金十郎・トミ夫妻の養女となりました。これは「次に小泉家から子が生まれたら稲垣家へ」という約束があったためだそうです。
当時は、士族の家柄が次々と没落していく時代。
実家も養家も例外ではなく、セツは小さな頃から家を支える立場に立たされていきました。生まれた時点で背負った運命が、後の強さを育てるきっかけになったのかもしれません。
幼少期と性格の特徴
セツは小さい頃から物語や昔話が大好きで、周囲の人にせがんで聞かせてもらっていたそうです。
田渕久美子さんの著書『ヘルンとセツ』にはこんな記述もあります。
「二歳を過ぎる頃になると、セツはお話や物語を聞くのが大好きな娘に成長していた。 …周囲はセツを見ると逃げ出すほどだった。」
3歳のときには、松江藩にやってきたフランス人軍事教官ヴァレットと出会います。
ほかの子どもたちが怖がって逃げる中、セツは物怖じせずに近づき、虫眼鏡を手渡されたというエピソードも。
この出来事は、セツが幼い頃から人並み外れた好奇心と大胆さを持っていたことを物語っていますね。
学業も優秀で、小学校をよい成績で卒業したものの、進学は経済的に難しく、11歳ごろから機織りの仕事に就き家計を支えました。
そのため若い頃から体を酷使し、「手足がたくましかった」とのこと、これについて後に八雲は親孝行の証しだとねぎらったそうです。素敵なエピソードですね。
一方で、母からは茶道や華道など武家の作法を幼い頃から教え込まれ、礼儀作法を身につけていました。この礼儀正しさは、のちに八雲と暮らすうえで大切な役割を果たしていきます。
物語好きで大胆、勤勉で礼儀正しい。
そんな幼少期のセツの姿には、のちに八雲を支え、八雲の創作に大きな影響を与えた人格の土台がすでに表れていたといえるでしょう。
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朝ドラヒロインモデル・小泉セツの結婚と生涯
セツの人生は、八雲との出会いと結婚を境に大きく変わっていきます。松江から始まった夫婦の暮らしは、熊本や東京へと続き、さまざまな土地で二人三脚の生活が営まれました。
晩年には八雲を失いながらも、強い意志で家族を守り続けた姿が伝えられています。
小泉八雲との結婚生活
1896年2月、ラフカディオ・ハーンは日本に帰化し、小泉家に入夫する形でセツと結婚しました。ここから“ラフカディオ・ハーン”は「小泉八雲」となり、二人は正式に夫婦となります。
八雲は大学で教壇に立ちながら執筆活動を続け、セツはその生活を支えるだけでなく、彼の作品づくりにも大きな役割を果たしました。夜になると、セツが昔話や怪談を語り、それを八雲が英語で書き留める──そんな光景が日常だったと伝えられています。
八雲は「世界で一番良きママさん」とセツに感謝の言葉を贈り、心から信頼を寄せていたそうです。
互いに文化も言葉も違う二人でしたが、日常のやり取りをユーモラスに変えた「ヘルン言葉」と呼ばれる独特の会話まで生まれ、夫婦の絆を強めていきました。
松江での暮らしと役割
松江は、二人の関係が育まれた原点の町でした。
八雲が松江の学校に赴任した頃、セツはまだ住み込みとして働いていました。寒さに弱かった八雲を看病し、生活の世話をするうちに、二人の距離はぐっと近づいていったといいます。
セツは日々の家事や家計のやりくりに追われながらも、八雲に民話や土地の伝説を語って聞かせました。それらの物語は後に『怪談』をはじめとする八雲の名作へとつながっていきます。
松江での暮らしは決して楽ではありませんでしたが、セツの支えがあったからこそ、八雲は作家として大きな足跡を残すことができたといえるでしょう。
いまでも松江では、セツゆかりの地をめぐるツアーや記念館展示が行われ、当時の生活がしのばれています。
晩年と周囲からの評価
1904年に八雲が亡くなると、セツは子どもたちを育てながら未亡人としての生活を送ることになります。八雲との日々を振り返った随筆『思い出の記』には、夫婦の温かな交流や、八雲を支え続けた心情が綴られています。
生活は決して楽ではなく、著作権を売却して家計を支えることもありましたが、セツはたくましく家族を守り抜きました。英語を学ぼうと自作のノートを作り、努力を重ねていた記録も残されており、その向学心もうかがえます。
研究者や地元の人々は、セツを「夫を陰から支えた妻」という一面だけでなく、文化の橋渡しをした存在としても評価しています。
朝ドラ『ばけばけ』をきっかけに再び注目されていることは、まさにその証といえるでしょう。
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ばけばけモデル・小泉セツの人物像|どんな女性だった?
結婚や日常の記録をたどると、セツにはただ「八雲の妻」という枠を超えた豊かな個性と強さが見えてきます。ここでは、忍耐・献身・現代に伝わる魅力の三方面から、セツがどんな人物だったのかみていきます。
忍耐強さと献身的な性格
セツは幼少期から家計を助け、さまざまな困難に直面してきました。11歳ごろから機織りや働き口を得て、実家・養家を支えた記録も残っています。
八雲没後、セツは著作権の管理や印税収入を頼りに生活を維持し、家族を守っていきました。また、評伝ではセツは「国際結婚の困難を、愛情とたゆまぬ努力で克服した女性」として語られています。
こうした背景から、セツには「耐え抜く力」「献身を惜しまない強さ」が刻まれていたと考えられます。
八雲を支えた姿勢
セツは、八雲の創作活動において不可欠なパートナーでした。日本各地の昔話や民間伝承を語る語り手として、セツの話から多くの題材が八雲の作品になりました。。
「思ひ出の記」には、セツがまず話の筋を八雲に伝え、その後、八雲の要望に応じて何度も語り直しを重ねて物語を磨いた過程が記されています。
怪談は大層好きでありまして、「怪談の書物は私の宝です」と言っていました。私は古本屋をそれからそれへと大分探しました。 淋しそうな夜、ランプの心を下げて怪談を致しました。ヘルンは私に物を聞くにも、その時には殊に声を低くして息を殺して恐ろしそうにして、私の話を聞いているのです。その聞いている風がまた如何にも恐ろしくてならぬ様子ですから、自然と私の話にも力がこもるのです。
また、八雲は体系的に日本語を学んでいなかったにもかかわらず、セツとの日々のやり取りを通じて、言葉や文化を吸収していったと評価されています。
そうした“学びの場”を支えた存在として、セツは八雲にとって単なる妻以上の存在だったのですね。
現代に伝わるセツの魅力
今日、セツの名前が脚光を浴びつつあるのは、ただ歴史的な裏方ではなく、ひとりの主体的な存在として見直されているからでしょう。
たとえば、評伝ではセツが自らの「英語覚え書帳」を残し、出雲弁訛りも交えながら英語を学ぼうとした姿が紹介されています。
また、資料によれば、セツは茶道・生け花・謡曲・鼓など武家の嗜みを習っており、その教養が後年の立ち振る舞いや文化理解に生かされたとされています。
こうした記録が示すのは、セツはただ控えめに生きた女性ではなく、自ら学び、支え、物語を紡ぐ“語りの担い手”としての魅力を持った人物だった、ということです。
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ばけばけでヒロイントキを演じるのは髙石あかりさん!
2025年後期の朝ドラ『ばけばけ』で、ヒロイン・松野トキを演じるのは女優の髙石あかりさん。
応募者2,800人以上の中から選ばれた、まさに大抜擢です。ここでは、髙石あかりさんのプロフィールと、朝ドラヒロインに決まったときの想い、そしてこれまでの代表作をご紹介します。
プロフィールとこれまでの歩み
髙石あかりさんは2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。
歌やダンスが得意で、2014年のキッズオーディションで注目を集めました。その後、エイベックスの育成ユニット「α-X’s」で活動し、2019年からは女優として本格的にキャリアをスタート。
映画、ドラマ、舞台と幅広く挑戦を重ねてきた髙石あかりさんは、透明感のあるルックスと存在感ある演技で、次世代を担う女優として注目を浴びています。
朝ドラヒロイン抜擢の想い
2024年10月に発表された『ばけばけ』ヒロイン抜擢は大きなニュースになりました。
会見では「子どもの頃からの夢だった」と涙ぐみながら語り、視聴者に寄り添える存在になりたいと意気込みを見せました。
このチャンスをつかむまでに、何度も朝ドラのオーディションを受けてきたことも明かされています。今回が3度目の挑戦での合格。努力を重ねてきたからこそ勝ち取った大役です。
髙石あかりさんの代表作まとめ
髙石あかりさんの名前を一気に広めたのは、アクション映画『ベイビーわるきゅーれ』。
殺し屋姉妹の妹役として主演を務め、迫力あるアクションとコミカルな掛け合いで高い評価を受けました。その後、続編やスピンオフにも出演し、シリーズの顔となっています。
舞台でも注目を集め、特に『鬼滅の刃』舞台版で豆子役を演じたことは話題となりました。表現力豊かな演技で多くの観客を魅了し、舞台経験が彼女の芝居に厚みを与えています。
さらに、ドラマや映画の出演も重ねながら確実に実力を伸ばしてきた髙石あかりさん。
『ばけばけ』のヒロイン役は、これまでの経験を生かしつつ、新たな一面を見せる大きな転機になりそうですね。
以上、今回は小泉セツとはどんな人かについて、その生涯や人物像をお伝えしました。
朝ドラ『ばけばけ』でヒロインのモデルとなったことで、改めて注目を集める小泉セツ。松江での暮らしや八雲を支えた姿は、時代を超えて私たちに強さと優しさを伝えてくれます。
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