NHK朝ドラ『あんぱん』で話題になっている「ミュージカル怪傑アンパンマン」。
1970年代に実際に上演されたこの舞台は、アンパンマンの歴史を語るうえで欠かせない存在です。
この記事では
- ミュージカル『怪傑アンパンマン』とはどんな舞台だったのか
- 当時のキャスト一覧
- 朝ドラ『あんぱん』での再現キャストと描かれ方
についてお伝えします。
ミュージカル『怪傑アンパンマン』とは?
1976年に上演された『ミュージカル 怪傑アンパンマン』は、やなせたかしさんが原作・脚本を手がけ、作曲はいずみたくさんという豪華な顔ぶれで制作された舞台。
アンパンマンが絵本やアニメで大きく知られる前に誕生した作品で、今日では上演の記録が少なく、ファンの間でも“知る人ぞ知る舞台”として語られています。
1976年に誕生した“知る人ぞ知る舞台”
初演は1976年、会場は東京・アトリエフォンテーヌ。演出はキノトールさんが担当しました。
物語は、ジャムおじさんが焼いたアンパンから子どもの姿をしたアンパンマンが誕生する場面から始まります。
飢えに苦しむ人を助け、悪役ゴリラマンとの対決を描く展開は、やなせたかしさんが大切にしてきた「正義とは何か」「弱い人を守る」というテーマが色濃く表れています。
現在では映像資料が残っておらず、アニメ『それいけ!アンパンマン』と比べると知名度は高くありません。
それでも、舞台として動くアンパンマンを初めて世に送り出した点で、大変貴重な作品といえますね。
やなせたかし×いずみたくによる創作の背景
やなせたかしさんは、詩や漫画、広告まで幅広く活動しながら、平和や人への優しさを一貫して作品に込めてきました。
一方、いずみたくさんは「見上げてごらん夜の星を」など数々の名曲を世に送り、子ども向け舞台や音楽劇でも力を発揮した作曲家。
二人がタッグを組んだこの舞台は、やなせたかしさんが描く「命を分け与えるアンパンマン」という思想を、いずみたくさんの温かみのある音楽で包み込むように表現しました。
紙の上のキャラクターが舞台に立ち、歌い、観客に語りかける――その体験は当時の観客に強い印象を残したといわれています。
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怪傑アンパンマンのキャストは?若き日の古谷徹さんも
これが実際のミュージカルの怪傑アンパンマンですね。 pic.twitter.com/RkJEB0EDYN
— Hiroyuki Ueda (@Spider_14789) September 16, 2025
1976年に上演された『ミュージカル 怪傑アンパンマン』には、演劇界や声優界で活躍する俳優たちが出演していました。
どんな方たちが、ミュージカル「怪傑アンパンマン」をつくりあげたのかみていきましょう。
キャスト・スタッフ一覧
- 原作・脚本:やなせたかし
- 演出:キノトール
- 音楽:いずみたく
- 舞台写真:安念 勉
出演:
- 海野かつを(アンパンマン)
- 田中淳(ジャムおじさん)
- 西沢由郎
- 宮島美智子
- 古谷 徹(ヤルセナカス)
海野かつをさん(アンパンマン役)
海野かつをさんは1932年生まれの俳優であり、芸人としても活動していました。
映画やテレビにも出演し、コメディからシリアスまで幅広い役をこなした人物です。
『吾輩は猫である』(1975年)など映像作品にも登場しており、舞台ならではの存在感と表現力を持っていました。
そんな海野かつをさんがアンパンマンを演じたことで、観客にとって親しみやすく、なおかつ力強いヒーロー像が形になったのではないでしょうか。
田中淳一さん(ジャムおじさん役)
田中淳一さんは1921年生まれ、喜劇を得意とする俳優。森川信さんに師事し、戦後の演芸界や舞台で活躍しました。
人懐っこい演技と温かみのある雰囲気で観客を魅了し、1977年に亡くなるまで幅広く活動しました。
ジャムおじさん役としてアンパンマンの誕生を支える存在を演じるには、ぴったりの人物だったといえるでしょう。
古谷徹さん(ヤルセナカス役)
古谷徹さんは1953年生まれ、横浜出身の声優・俳優です。『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイや『巨人の星』の星飛雄馬など数々の代表作で知られていますね。
『怪傑アンパンマン』出演当時は20代前半で、舞台経験を重ねながら演技の幅を広げていた時期。
若き日の古谷徹さんが舞台でどんな存在感を示したのか、今となっては想像するだけでも興味深いですね。

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朝ドラ『あんぱん』での怪傑アンパンマン再現キャスト
朝ドラあんぱん版ではどう「怪傑アンパンマン」が再現されているか、キャストをご紹介します。
ドラマ版キャスト紹介
- 浜野謙太さん:
アンパンマン役(劇中ミュージカル『怪傑アンパンマン』で)として出演。被り物をしたアンパンマン姿が話題になっています。 - 伊礼彼方さん:
演出家のマノ・ゴロー役で出演。第25週(「怪傑アンパンマン」のエピソード)から登場。 - 西山潤さん:
古川マモル/ヤルセナカス役として出演。朝ドラの設定ではマモルという名前で、史実のヤルセナカス役の古谷徹さんのモデル的役割を持つ人物として描かれています。 - 佐竹桃華さん:
小宮ミカ役(劇中ミルカ役)として出演。ミュージカルキャストの一員として登場。
朝ドラ『あんぱん』で浜野謙太さんがアンパンマン役を演じると発表された瞬間、SNSは一気にざわめきました。「まさかの配役!」「明るさとユーモアがピッタリ」といったコメントがあふれ、期待値は急上昇。
さらに、西山潤さんのヤルセナカス役や佐竹桃華さんのミルカ役にも「想像以上にハマってる」「舞台を知っている人も納得の雰囲気」といった声が寄せられています。

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ミュージカル『怪傑アンパンマン』が「ばいきんまん」誕生のきっかけに?
さて、史実の話に戻りますが、やなせたかしさんはミュージカル『怪傑アンパンマン』の上演中、観客の反応をじっと観察していました。
ところが、どうも客席の反応は思わしくありません。その理由を探ったやなせたかしさんは、「敵役が必要だ」と考えるようになります。
その時は大人向けのミュージカルで、まだバイキンマンというキャラクターも生まれていなかった頃です。ところが、話が引き締まらないんですよ。なんでだろう、あっ! かたき役がいないからだ。じゃ、かたき役をつくろう。あんパンが食品だから、かたき役はバイキン(ばい菌)がいいかなと思いついて。
出典:nobico
この経験がヒントとなり、後にアンパンマンの永遠のライバルとなるキャラクター――「ばいきんまん」が生まれることにつながりました。
なお、実際にばいきんまんが初登場したのは、1978年9月号の『月刊いちごえほん』です。
朝ドラ『あんぱん』でも、ついにばいきんまんが登場するのでしょうか?
以上、今回はミュージカル『怪傑アンパンマン』と当時のキャスト、そして朝ドラ『あんぱん』での再現についてお伝えしました。
舞台から生まれた発想が「ばいきんまん」誕生へとつながったように、ドラマでもどんな新しい表現が見られるのか楽しみですね。
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