NHK連続テレビ小説「ばけばけ」で主人公トキ(髙石あかり)の親友として登場する「野津サワ」。
円井わんさんが演じるこのキャラクターが気になっている視聴者も多いのではないでしょうか。
トキのモデルは小泉八雲の妻・小泉セツですが、親友のさわにも実在モデルがいたのでしょうか?詳しく調べてみました。
ばけばけ「さわ」の実在モデルは?
結論から言うと、野津サワには特定の実在モデルはいません。ただし、キャラクター造形の参考にされた実在人物が2人いることが、制作側から明かされています。
その2人とは、
- 「山脇房子(やまわきふさこ)」さん
- 「渡部トミ」さん
どちらも松江出身で、教師として活躍した女性たちです。
ドラマの「サワ」は、この2人の女性の要素を取り入れながら脚本家が創作したオリジナルキャラクターなんですね。小泉セツと直接の友人関係があったかどうかは史実に残っていませんが、同じ時代を生きた女性教育者たちを参考にしています。
サワの実在参考モデル①山脇房子
1人目の参考モデル・山脇房子さんについて見ていきましょう。
セツと同世代の士族出身
山脇房子さんは1867年(慶応3年)、松江藩士・小倉忠の長女として生まれました。旧姓は小倉フサ。実は小泉セツ(1868年生まれ)とほぼ同学年です。
どちらも士族の娘で、明治維新による家の没落を経験しているという共通点があります。ドラマでサワが「元下級武士の娘」という設定なのは、この時代背景が参考にされているんですね。
セツの出身地とフサの出身地は隣町同士。当時の松江では、いくつかの町をまとめた校区ごとに小学校が設置されていたので、2人が顔を合わせていた可能性もゼロではありません。
女子教育の先駆者
房子さんは1883年(明治16年)に松江女子師範学校を卒業後、仙台でアメリカ人宣教師のもとで英語を学びます。1885年(明治18年)には上京し、イギリス人教師のもとで経済学や文学を学びました。
その後、行政裁判所の評定官だった山脇玄と結婚。1903年(明治36年)には夫が設立した山脇女子実修学校(後の山脇学園)の初代校長に就任します。
女子教育の発展と女性の地位向上に尽力し、大日本婦人教育会理事や大日本連合女子青年団理事長なども務めました。1935年(昭和10年)に68歳で亡くなっています。
サワの実在参考モデル②渡部トミ
2人目の参考人物・渡部トミさんについても見ていきましょう。
松江で初の女性教師に
渡部トミさんは、松江市の雑賀小学校で初めて女性教師になった人物です。当時、女性が教師になること自体が画期的だった時代。トミさんは教員免許を取得し、地元で教育に携わりました。
ドラマでサワが「教師を志す」という設定は、このトミさんの経歴が参考にされているかもしれません。
ドラマのキャラクターとの意外な繋がり
興味深いのは、渡部トミさんが結婚した相手。なんと「ばけばけ」に登場する庄田多吉のモデル・本庄太一郎さんです。
本庄太一郎さんも教育者で、東京、京都、台湾、長野、兵庫など全国各地で中等教育の教諭や校長を歴任しました。
ドラマでは庄田多吉が「トキやヘブンとも深く関わっていく」というキャラクター設定。もしかすると、サワと庄田の恋愛展開なんてこともあるかもしれませんね。
ばけばけヒロインモデル・小泉セツの友人
参考にされた2人の女性については分かりましたが、史実のセツ自身の友人についてもみてみましょう。
八重垣神社での縁占いエピソード
実は、若い頃のセツが「2人の女友達」と一緒に八重垣神社で縁占いをしたというエピソードが残っています。
八重垣神社は松江の南部にある神社で、昔から縁結びで有名。セツたちは薄紙で作った舟に硬貨を一枚載せて、澄んだ池の水面にそっと浮かべました。舟が早く沈めば早く縁に恵まれて、近くで沈めば近くにいる人と結ばれるという言い伝えがあったのです。
このエピソードからは、セツが友達と一緒に未来への希望を持ち続けようとしていた様子が伝わってきます。
友人の名前は記録に残っていない
ただ、この「2人の女友達」が誰だったのかは、史実ではわかりません。山脇房子さんや渡部トミさんとセツが実際に友人だったという記録もなしです。
でも、同じ松江で、同じように士族の没落を経験し、同じような時代を生きた女性たち。きっと何らかの形で交流があったり、お互いの存在を知っていたりしたのかもしれませんね。
「ばけばけ」のサワってどんな人?
ドラマでの野津サワは、2人の実在人物の要素を取り入れながら創作されたキャラクターです。
夢と現実の間で揺れる女性
サワは元下級武士の娘でトキの幼なじみ。貧しい家に生まれて、「いつか不自由ない生活がしたい」という家族の期待を背負って育ちます。
安定した生活を手に入れるために教師を目指す、たくましい女性として描かれています。円井わんさんは役柄について
「誰かを思い、信念を背負い、トキともまっすぐに向かい合うたくましい人」
とコメント。
トキの唯一無二の親友
ちょっと変わったトキのことをありのまま受け入れてくれる、かけがえのない親友。貧しさという共通点を持ちながらも、お互いに支え合う関係性が素敵です。
松江大橋を挟んで遠くに見えるお城を、かつて住んでいた場所として眺めるサワ。没落士族という立場から、明治という激動の時代を生きる女性の葛藤が伝わってきますよね。
明治の女性たちと教育への道
ばけばけのサワについて、2人の参考モデル人物に共通するのは「教師」という職業。当時の女性にとって、教師になることはどんな意味があったのでしょうか。
女性が自立できる数少ない職業
明治時代、女性が自立できる仕事は本当に限られていました。教員は、その数少ない選択肢の一つだったんです。
明治5年(1872年)に学制が発布されて、全国に小学校ができ始めると、女性教員の需要が生まれました。特に女子への教育が重視されるようになってからは、女性教員は欠かせない存在に。
サワが教師を目指すという設定は、こんな時代の流れを反映しています。
武士の没落と女性たちの選択
明治維新で武士階級は特権を失って、多くの武士の家が貧しくなりました。セツをはじめとする武士の娘たちは、いきなり「働かないと生きていけない」状況に。
江戸時代には働くことなんてなかった上流階級の娘たちが、機織り工場で働いたり、教師を目指したり。これって当時の女性たちにとって、想像を絶する変化だったのですね。
プライドはあるけど、家族を支えるために働かなきゃいけない。そんな厳しい現実の中で、教育という道を選んだ女性たちの強さが、サワというキャラクターに込められています。
支え合う女性たちの絆
「ばけばけ」では、サワとトキの友情を通じて、時代に翻弄されながらも支え合う女性たちの姿が描かれます。
八重垣神社での縁占いのエピソードは、厳しい現実の中でも、友達と一緒に未来への希望を持ち続けようとする女性たちの姿を表しています。結婚が人生の大きな転機であり、時には困窮からの救いでもあった時代。そんな時代を生きた女性たちの想いが伝わってきます。
ばけばけ「サワ」役は円井わん

野津サワを演じるのは、1998年1月3日生まれ、大阪府出身の女優・円井わんさんです。
芸名の由来とキャリア
円井わんという印象的な芸名、実は面白いエピソードがあります。先輩俳優から柴犬に似てるって言われて「柴田」「柴ちゃん」って呼ばれていたそう。
芸名で活動したいと相談したら、「犬だから"わん"でいいんじゃない?」と提案されたんだとか。「ナンバーワン」や「オンリーワン」にもかけられるってことで決まったそうです。
「円井」は、丸い器やお椀を表していて、器の大きさや許容のある人を意味しているとのことです。
2016年から女優活動をスタートして、2017年の映画「獣道」で映画デビュー。その後、Netflix「全裸監督」、MBS「映像研には手を出すな!」など、いろんなドラマや映画に出演されました。
朝ドラとの縁
円井わんさんは、2024年前期の朝ドラ「虎に翼」で東京家裁の調査官・音羽綾子役として朝ドラ初出演を果たしています。そして「ばけばけ」では、主人公の親友という重要な役どころに。
本人のSNSでは「誰かを思い、信念を背負い、トキともまっすぐに向かい合うたくましい人」と、サワの役柄について語っていて、撮影への思いが伝わってきます。
演技力への評価
2023年のドラマ「この素晴らしき世界」では、マネージャー・室井セシル役で高い評価を受けました。2024年の「セクシー田中さん」では友人・榎本華役でしっかり者の女性を好演。
映画でも活躍していて、2025年には「てっぺんの向こうにあなたがいる」「逆火」「知らないカノジョ」など多数の作品に出演。2026年1月には「ヒグマ!!」の公開も控えています。
「ばけばけ」での野津サワ役で、円井わんさんの演技力がもっと多くの人に届くといいですね。
以上、「ばけばけ」の野津サワの実在モデルについてご紹介しました。
「ばけばけ」の野津サワには特定のモデルはいませんが、山脇房子さんと渡部トミさんという2人の実在人物が参考にされていることが分かりました。
どちらも松江出身で、教師として活躍した女性たち。セツと直接の友人関係があったかは不明ですが、同じ時代、同じ場所で、同じように士族の没落を経験し、教育という道を選んだ女性たちです。
ドラマは史実を大胆に再構成したフィクションですが、2人の実在人物の要素を取り入れることで、明治という激動の時代を生きた女性たちの強さと、新しい時代を切り開こうとする意志がリアルに表現されています。
円井わんさんが演じる野津サワの活躍を通じて、私たちは歴史に名を残さなかった多くの女性たちの生き様を感じ取ることができるはずです。
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