朝ドラ『あんぱん』に登場する八木信之介は、嵩の人生に大きな影響を与える重要な人物です。
その静かな存在感の裏には、実在のモデルとされる人物の影があるとも言われています。さらに、演じる妻夫木聡さんの配役にも注目が集まっています。
この記事では
- 朝ドラ『あんぱん』八木信之介の実在モデルとは?
- 劇中で描かれる八木の過去と再会の意味
- 八木信之介役・妻夫木聡さん
についてお伝えします。
八木信之介の実在モデルは誰?候補は2人の実在人物
ドラマ『あんぱん』に登場する上等兵・八木信之介は、軍隊という過酷な環境の中で、嵩の才能と心を見抜いた希有な人物。
しかも、戦後も再び嵩と再会し、彼の人生をそっと後押しする存在として描かれています。
あまりにも印象的なキャラクターですが、調べてみると──
どうやらこの八木には、モデルとされる“実在の人物”が2人いるようなのです。
戦中と戦後、それぞれの時代にやなせたかしさんと深く関わったふたりの人物。
その面影が、ひとりのキャラクターに重ねられているようです。
実在モデル候補① 新屋敷上等兵
ひとりめの候補は、やなせたかしさんの自伝『アンパンマンの遺書』に登場する「新屋敷上等兵」。
軍隊内での彼は、“鬼屋敷”と呼ばれるほどの風貌と存在感を持っていたそうですが、実際には、暴力をふるわず、理不尽な上官からやなせさんをかばってくれたという逸話が残っています。
当時の連隊では“リンチの嵐”が吹き荒れていたといいますから、これは本当に異例の存在。
まさに「怒鳴らず、殴らず、でも信頼される」上等兵。その姿は、ドラマの八木とぴたりと重なります。
しかも新屋敷上等兵は、やなせさんを「幹部候補に推薦した」とも伝えられており、嵩に「詩人としての才能がある」と見抜いた八木の描写とも共通する部分が見えてきます。
つまり、戦時中の八木は、この“新屋敷上等兵”のリアルな姿をベースに描かれた可能性が高いのです。
実在モデル候補② 辻信太郎(サンリオ創業者)
もうひとりのモデル候補が、あの「サンリオ」の創業者・辻信太郎さん。
「えっ、サンリオ? キティちゃんの?」と驚かれるかもしれませんが、実はこの辻さん、やなせたかしさんが無名時代から深く支援していた人物として知られています。
詩人として生きていきたい──そう願ったやなせさんが書き溜めていた詩を見て、
「この詩は、絶対に出版すべきだ」
と太鼓判を押し、自らの会社(当時の山梨シルクセンター出版部)から1970年に詩集『愛する歌』を出版したのが、ほかならぬ辻さんでした。
この出来事は、まさに『あんぱん』の物語後半で、八木が嵩と再会し、表現者としての背中を押すシーンそのもの。
戦中の“守り手”が、新たに“人生の伴走者”として現れるという展開は、辻さんとの関係を投影しているようにも感じられます。
このように、八木信之介には2人の実在人物がモデル候補として挙げられていますが、どちらか一方に基づいているというより、ふたつの側面を持つ人物として描かれているようです。
ひとつは、戦中の嵩を支えた“頼れる上官”としての顔。
もうひとつは、戦後、嵩の表現活動を後押しする“人生の理解者”としての姿。
それぞれに思い当たる人物がいるからこそ、八木というキャラクターは単なるフィクション以上に、リアリティと深みを感じさせてくれるのかもしれません。
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八木の過去が実在モデルのヒントかも?
朝ドラあんぱんの中で、戦後に再会した八木が「昔は家族がいた」と話す場面があります。
詳しい説明はないものの、この一言には、どこか引っかかるものがありますよね。
実はこのセリフ、八木のモデルを考えるヒントになるかもしれません。
やなせたかしさんの自伝によると、戦時中にお世話になった新屋敷上等兵とは、戦後に会うことはなかったそうです。
そう考えると、「家族がいた」という発言は、具体的な誰かの話というよりも、“失ったもの”や“帰れなかった過去”をにおわせる演出かもしれません。
一方で、戦後に再会した八木が嵩の表現活動を支える展開は、サンリオの創業者・辻信太郎さんとの関係を思わせます。
詩集の出版を後押しした辻さんのエピソードと、ドラマの八木が重なるように見える部分もありますね。
戦中と戦後、それぞれの描写に別のモデルの影響が見え隠れしているとすれば──
このセリフや再会シーンにも、そうした背景が反映されている可能性はありそうです。
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あんぱん八木信之介役は妻夫木聡!
朝ドラあんぱんで、主人公・嵩の心を静かに支える存在、八木信之介を演じるのは俳優の妻夫木聡さん。
登場のたびに視線を引きつけるその芝居には、キャリアと役への深い理解がにじみ出ています。
妻夫木聡のプロフィール
1980年12月13日、福岡県柳川市生まれ、神奈川県横浜市出身。
2001年の主演作『ウォーターボーイズ』で一躍ブレイク。その後も『ジョゼと虎と魚たち』『悪人』『怒り』『浅田家!』など、ヒューマンドラマや社会派作品で高い評価を得てきました。
繊細な感情表現から深みのある人間描写まで、幅広い役柄をナチュラルに演じ分ける力は、キャリアを重ねた今もなお大きな魅力のひとつです。
八木信之介に“ぴったり”だった理由
八木信之介は、口数は少ないながらも、相手の本質を見抜き、そっと支えるような人物として描かれています。
感情を大きく揺らすような役ではないからこそ、その「静けさ」に説得力が求められる役どころです。
妻夫木さんは、そうした内面の温度や揺らぎを、目線や間の取り方で繊細に表現していますね。
控えめな佇まいに秘めた“内面の強さ”
妻夫木さん自身が語る八木像は、
「物事の本質を静かに見極め、無駄を省いてあるべきものだけに向き合う人」
出典:ステラnet
冷静でストイック、孤独を抱えながらも嵩の才能を誰より理解し支え続ける存在
──この静かな佇まいこそが、八木の印象的なキャラクター性に一致したようです。
制作陣からも高評価
制作統括やレビュー記事でも、妻夫木さんの演技に対して
- 「これは朝ドラでも『あんぱん』でもない、映画を見ているようだった」
- 「戦争パートが圧倒的」
などの称賛が寄せられており、その存在感に制作者も視聴者も釘付けになっています。
八木が嵩を見守る姿には、余計な説明はなくとも「この人なら信じられる」と思わせる空気がありますよね。
ご本人もインタビューの中で、嵩のことを「放っておけない存在だった」と語っており、演じながら自然と役との距離が縮まっていったことがうかがえます。
以上、今回は朝ドラあんぱんに登場する八木信之介の実在モデルについてご紹介しました。
八木信之介の過去や心の奥にある思いは、まだすべてが語られているわけではありません。
これから嵩やのぶとどんなふうに関わっていくのか──その静かな存在が、物語にどんな影響をもたらすのか。
朝ドラ『あんぱん』後半の展開に、ますます目が離せません。
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