明治の松江を舞台に、人々の絆と再生を描くNHK朝ドラ『ばけばけ』。
なかでも、雨清水三之丞を演じる板垣李光人さんの繊細な演技が話題を集めていますね。
そのモデルとなったのは、実在した人物・小泉藤三郎。
この記事では、
- 三之丞のモデルとされる小泉藤三郎の生涯
- ばけばけ三之丞役の板垣李光人さんのプロフィール
についてお伝えします。
『ばけばけ』三之丞のモデル・小泉藤三郎とは?
小泉藤三郎は、武士の家に生まれ、明治という激動の時代を生きた人物です。
三之丞のモデル・小泉藤三郎の家族
小泉藤三郎は、1870(明治3)年、出雲松江の上級士族・小泉家の三男として誕生しました。
小泉家は代々松江藩に仕えてきた家柄で、明治に入り商いへ転じた時代の変化を生きた一家です。
続柄 | 氏名・出身 | 補足・人物像 |
---|---|---|
父 | 小泉 湊(みなと) | 松江藩の旧士族。維新後に織物業を起こし、家業の再建を図るも倒産。1887年に死去。 |
母 | 小泉 チエ | 塩見家の長女で、上流の家柄の出身。夫の死後、未亡人として暮らす。 |
長男 | 小泉 氏太郎 | 町娘と駆け落ちし、行方不明に。 |
次男 | 小泉 武松 | 19歳で早世。 |
長女 | 小泉 スエ | 本多家の養女となる。 |
次女 | 小泉 セツ | 稲垣家の養女となり、のちに作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と結婚。 |
三男(本人) | 小泉 藤三郎 | 家督を継ぐが家業を支える意識は薄かった。 |
四男 | 小泉 千代之助 | 岩見家に養子へ。のちに小泉家へ復籍。 |
父・湊(みなと)は維新後、士族から民間へと生き方を変え、織物業を興しました。
時代の変化に挑んだものの、経営は長く続かず、会社はやがて倒産します。
母・チエは塩見家の長女で、上流の家柄に育ちました。
藤三郎は6人きょうだいの5番目にあたり、姉のセツは稲垣家の養女となり、のちに作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻となりました。
家業の変化と小泉家の傾き
明治初期、父・湊の織物会社は一時期繁盛しましたが、繊維業界全体の不況で経営が悪化し、やがて倒産します。
当時の小泉家には4人の男子がいました。
しかし、長男・氏太郎は町娘と駆け落ち、次男・武松は19歳で夭逝。
さらに四男・千代之助は岩見家に養子へ出ていたため、1887(明治20)年に父・湊が亡くなったのち、小泉家を継いだのは三男の藤三郎でした。
時代の流れの中で、かつての武士の家は生計を立てることが難しくなり、小泉家もその波を受けて没落していきます。
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ばけばけ三之丞のモデル・小泉藤三郎と姉セツとの関係
小泉藤三郎の後半生は、家族との関わりや経済的な困難、そして孤独な最期によって知られています。
セツとの関係もみていきましょう。
姉セツの仕送りと弟・藤三郎の生活
八雲と結婚した姉セツは、上京後も母チエに仕送りを続けていました。母チエからのの手紙には、その仕送りの一部が藤三郎の生活費に充てられていたことが記されています。
この事実は、藤三郎が姉に経済的に支えられていたということ。
明治という転換期において、家族の支えがどれほど大きな意味を持っていたのかを感じさせます。
小泉家のお墓を売却
1896(明治29)年、小泉八雲とセツ夫妻が松江の菩提寺・善導寺を訪ねた際、小泉家の墓がなくなっていることがわかりました。
寺の僧によると、藤三郎が墓地を売却していたとのこと。
のちに藤三郎が姉夫妻のもとを訪ねた際、八雲はこの件を知り、強く叱責したと伝えられています。
藤三郎はその日のうちに家を出て行き、以後、姉セツ夫妻と会うことはなかったそうです。
三之丞のモデル・小泉藤三郎の最期
1916(大正5)年、藤三郎は本籍を置いていた町の近くの空き家で亡くなっているところを発見されました。45歳でした。
亡くなったときは一人で、家族に看取られることはなかったようです。
静かな最期を迎えた藤三郎の人生は、時代の変化に取り残された明治の士族の姿を映しています。
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ばけばけで三之丞役は板垣李光人
2025年度後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』で、雨清水三之丞を演じるのは、俳優の板垣李光人(いたがき りひと)さんです。
今回の出演は板垣さんにとって初の朝ドラ出演となります。
板垣李光人のプロフィール
板垣李光人さんは、モデル出身の俳優で、若くして多くの話題作に出演してきた注目の実力派です。
- 名前:板垣 李光人(いたがき りひと)
- 生年月日:2002年1月28日
- 出身地:山梨県
- 血液型:AB型
- 身長:165cm
- 所属事務所:スターダストプロモーション
- 趣味・特技:イラストを描くこと、美術鑑賞
- 芸能活動開始:2歳からモデルとして活動
- 俳優デビュー:2015年 NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
主な出演作には、『仮面ライダージオウ』『約束のネバーランド』『ここは今から倫理です。』『silent』などがあります。中性的で透明感のある表情と演技力で、幅広い世代から支持を集めていますね。
板垣李光人さんのコメント
『ばけばけ』の出演発表時、板垣李光人さんは以下のようにコメントしています。
彼が彼なりに抱える葛藤や苦悩、時代に翻弄されるさまを全て抱きしめて誠心誠意、少しのおかしみも持ちながら演じていきたいです。
制作統括の橋爪國臣氏は、キャスト発表時に次のように語っています。
「衣装合わせで見た板垣さんの立ち姿が、台本で想定していた三之丞そのものだった。」
繊細な存在感と柔らかな雰囲気が、三之丞というキャラクターに重なったといいます。
初の朝ドラ出演ながら、制作陣から高い期待を寄せられている板垣李光人さん。繊細な表現力と静かな存在感が、作品にどんな彩りを添えるのかを感じながらみていきたいですね。
以上、『ばけばけ』の三之丞のモデル・小泉藤三郎についてご紹介してきました。
三之丞のモデルとなった小泉藤三郎は、士族から市民へと社会が変化する時代を生きた青年でした。
家の名誉、家族の支え、そして時代との葛藤。そのすべてが、藤三郎の人生に静かに刻まれています。板垣李光人さんが演じる三之丞の繊細な表情の裏に、そんな藤三郎の影が重なりますね。
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